「花の墨通信」14巻7号・号外  

                     (回答)花墨 汎潤

 ー 相談室「パンセ・ソバージュ」    第90回

   「 野党はどう政策を掲げるべきか 」

        その(6-2)   

  2024年7月20日発行

 

Q24 だとしたら、現代のわれわれは超便利な<コミュニケ―ション・ツール(通信機器)>に触れている割にはまるで進歩していませんよね。その点はどうでしょう?

A24 同感です。進歩していないどころか、むしろ<鈍感>にさえなっているかも知れません。つい最近の一例をあげましょう。この間衆院東京15区補欠選挙があって選挙妨害が話題になりました。これについてこんな記事が出ていました。(夕刊フジ2024年5月15日号抜すい)

「つばさの党関係者による妨害行為は、常識を逸していた。

 黒川氏(注:党代表、45歳)や、15区補選に立候補した根本良輔(29)氏らは告示日の4月16日から、過激な行動を繰り返した。他候補の選挙カーに車を横付けして大音量で叫び、演説をかき消した。車のクラクションも鳴らした。「カーチェイス街宣」と称して、他陣営の選挙カーを追いかけ回した。黒川氏らが近くの電話ボックスによじ登る異様な光景も見られた。」

「無所属で出馬した乙武洋匡氏(48)の街頭演説に根本氏が選挙カーで乗り付けて、「不倫の乙武さーん!」などとマイクで叫び出した。抗議した50代女性に根本氏が詰め寄って、女性が転倒する場面があった。根本氏は女性に対し、「警察呼べよ、ババア!」などといい、その後も騒ぎを続けた。」

 マスコミもこうした行動の表面のみを捉え、与党も公選法改正・規制強化に向けた動きをしています。けれどもここには重大な<全体知の欠如>が感じられます。それが何かわかりますか?

Q25 さっぱりわかりません。どういうことでしょう?

A25 立候補者は東大大学院中退の秀才なんですね。本来なら<日本を立て直す方策をアピールし、正面から堂々と斬新(ざんしん)なビジョンと政策を建策>すべきでしょう。ところが今や日本のエリート指導層にはそんな動きに敏感に答える姿勢が皆無です。良い方策が出たらそれを盗んで自分の見解に入れるくらいの知恵しかありません。<政治変革へのパトス(情熱>が無くなっているからですよ。まるで問題の核心を見ていないのです。立候補者はその状況がわかっていますから、わざと<人目をひく異様な行動に出た>のです。まさに<知性のかけらもない幼稚な行動>だけれども、少し米の<トランプ前大統領の振舞>に似ています。これは<全体知>を失い<部分知>でしか考えない現代の<愚かな状況>の縮図といえるでしょう。候補者はもっと<ユーモアを駆使>し<相対化する眼>を持って政治状況をみてほしいです。もっと<日本や世界全体を見る大きなまなざし>が不可欠でしょう。

Q26 言われてみるとまさに図星です。ぜひ次回に<全体知をどう回復するか> ・・その肝心かなめのテーマを探求してみてください。                  (今月の連載終わり)

 

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