2024年7月18日発行

「花の墨通信」14巻7号・号外  

       (回答)花墨 汎潤

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

     第90回    

野党はどう政策を掲げるべきか」 

              その(4-1)

Q13 としたら、なんだか芸もないですね。人生の旅に特有な<哀愁の情>もありません。けっきょくオーバーツーリズム(観光地の迷惑)という情けない結果だけがゴミ公害になって残ります。違いますか? 

A13 違いますね。米バイデン大統領が<日本人は外国人が嫌いで移民を望んでいない>(夕刊フジ5月15日号、有本香「以読制毒」)と発言したようですが、これも違っていますよ。ここによくわれわれ日本人が陥りやすい<相対化してみるまなざしの欠如(けつじょ)>があります。実例をあげてみましょう。富士山の見える良い場所にコンビニがあって、外国人が殺到(さっとう)しているんですね。前の道路にたちふさがってスマホを構えるので車が通れない。とうとう町はコンビニの前に<高い黒壁>をつくって富士山を写せなくしたんですね。これをどう思いますか?

Q14 やむを得ないでしょう。迷惑行為が発生しているわけですから。そうじゃありませんか 

A14 とんでもない! これこそ<愚の骨頂(こっちょう)>ですよ。逆にここは<混む時間帯に車を通行禁止>にし、あるいは<通行車を迂回(うかい)>させる策を講じるべきです。<観光客を積極的に受け入れる方策>はいろいろとあるはずです。それをせず<オーバーツーリズム>だけを見て<高い黒壁>をつくるなんて発想は貧困すぎます。こんなことではますます<落ち目の日本がひどくなる>に決まっていますよ。

 これは日銀が円安誘導・株高安定から逃げられず、国力の落ちてゆくのを黙ってみている状況と同じです。確かに<円安で上場企業の3分の2は黒字>(日経5月14日号)だそうです。けれどもこれは<輸出で労せずもうけている>安易な産業界の<堕落(だらく)路線>です。まさに<麻薬注入経済>といえます。こんな消極策で国力がうるおい、賃上げが多少はできたとしても、肝心の<国力は落ちてゆく>ばかりですね。

Q15 元安倍首相は黒田日銀総裁と組んで円安誘導・株価安定策>で輸出大企業がもうかる<アベノミクス>をとりました。結果は雇用が増え賃金が上がって下層までうるおう<トリクルダウン政策>が成功するはずなのに、なぜその効果は出なかったのですか?

A15 大企業は肝心の<生産性向上>でうるおったのではありませんから、投資や賃上げにもうけをまわさずひたすら<社内留保>したり<自社株購入>に走りました。<バブルの二の舞>になるのが怖かったんですね。ところがバブルは起きませんでした。それがわかればもっと<活発な投資>にまわせたのに、そんな冒険に踏みこめかったわけですね

Q16 黒田さんは小学校時代一度読んだ教科書のなかみは全部覚えてしまうほどの大変な秀才だったようですよ。そんな頭のいい人が<円安誘導・株価安定策>でひたすら<国債を買いまくる>ような<技巧中心の金融政策>しかとれなかったのはなぜなんですか?         (4-2ヘ続く)