2024年7月16日発行

「花の墨通信」 14巻7号・号外  

        (回答)花墨 汎潤

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

      第90回    

野党はどう政策を掲げるべきか」 

             その(2-1)

A7 今までの日本の学校教育は<横並びいっせい教育>であり、いっさい<英才教育の特別ルート>は存在しませんでした。まして<英才を見つけ育てる>ことにはきわめて無頓着(むとんちゃく)でした。が、<高度メカニズム・グローバル化時代>を迎えて対応策を講じないと先進各国に<国際競争力で負ける>しかありません。今や国力は<国民の勤勉さ>のみに頼れず、<英才を見つけ育てる教育力>によって差がつく時代となりました。それほど《科学技術力の蓄積》が問われているわけですね。

 第三に、<芸術立国としての日本の立ち位置>です。<円安>ではからずもインバウンド(外国人観光客)に<日本文化の良さ>が知れ渡りました。美点が知られたのは良いことですが、<観光面での売り上げ増加>に特化され、<美しい国ニッポンの価値>が上がったと手放しでは喜べません。<芸術立国としての日本文化のなかみ>は意外に貧弱です。芸能人の高給ぶりに比較して芸術家たちの待遇(たいぐう)はよくありません。その設備投資も貧弱です。したがってマスコミの<現行の安易さ>が金融市場における<株主中心の短期投資>に傾きすぎる欠点と同じです。    

 これも国策の大きな欠点が<全体知の欠如(けつじょ)>にあるからです。要は<美しい国ニッポン>とは<芸術立国の豊かさ>であり、<精神文明の豊かさ>を忘れて成り立たないわけですね。ゆえにもっと<芸術立国>への諸施策の充実が欠かせません。

 第四に、世界の圧倒的な<グローバリズムの大波>をみれば、《科学技術の基礎研究投資》をなおざりにしていると、わが国はさらに出遅れてしまいます。今はまだ分野によっては先行していますが、<研究成果をあせり、効率化追求に囚われている>と《科学技術の基礎研究投資》は軽視され、けっきょくは有望な研究者が育ちません。《地味な基礎研究》こそが世界を制するのです。科学研究の成果は一朝一夕には現れません。国はもっと長い目で忍耐強く見守る姿勢が結局後になって大輪の花を咲かせます。

 第五に、<アマチュアリズム(素人主義)の拡充によってヒューマン・ウエル・ビー―イング(生きがい創造)の幅広い道を開く>ことです。第二の施策は<ロボットづくり>に子どもを参加させる提案ですが、これがすでに<アマチュアリズム(素人主義)による楽しい子育て>の一環ともいえるでしょう。専門家の独占から《科学技術を解放する》のは<高度なロボットとの共存時代>だからこそできる新しい文化創造の側面です。今やまさにロボットやマシーンと交流して楽しく遊ぶ時代が直前に迫っていることを意味するわけですね。 

 第六に、<宗教をもっと魅力的なかたちに!>しないと、人間の側の<精神文明はますます衰弱(すいじゃく)>してしまうでしょう。今までの宗教文明の問い直しが絶対に必須(ひっす)なのです。<超高度メカニズム文明>の時代をいよいよ迎えて、<科学と宗教の一体化>を模索せざるを得ない大変に難解な段階にあります。                         (2-2ヘ続く)