信 14巻7号 

        2024年7月1日発行 

           by 花 墨 汎 潤

-「ロータス・ワールドへのいざない」

     その(175-1)     

 

A580 第一に、能登(のと)半島地震からただちに連想すべきは<日本列島太平洋側(東南海トラフ)大地震>です。これから<30年以内に80%の確率で起きる>という予測が出ています。これへの対策がまずいちばん必要でしょう。     

そこで<防災救助隊・防災省・防災大学を設置>し、自衛隊に並ぶ一連の<高度な自然災害安保システム>を確立するのです。これに要する年5兆円は増税ではなく防災国債>でねん出します。この際多額の出資をしてくれる富裕層には、それ相当の<社会貢献減税>を行ないます。試算は税制全体のなかで<生成AIの汎用化>によって行われるのです。もちろん防災救助の技術的成果を全世界にむけて売り込みます。

Q580 そうすると、お金持ちがますます<減税で富む>ということが起きるのではありませんか? いかがですか? 

A581 これはちょうどギャンブラー(賭博者)が公営ギャンブルに多額の投資をするにもかかわらず、自治体のもうけからみたら取るに足らない割合になるのと一見似ています。けれどもギャンブルは<遊興>に過ぎずなんの<社会貢献性>も見られません。加えて<ギャンブル依存症>をまん延させている<反社会性>と比べたら<防災国債への投資活動>は大変な公益性があるわけで、問題にならないでしょう。

 第二は、<成長育英奨学金制度>の創設です。これは<子どもの自主的なアイデア力を育てる>しくみで、

教育界と察業界がタイアップ>して<子育て政策の一環>としてまた<社会的成長戦略の担い手育成>をめざします。小学校は基礎学力育成が最重視されるので省(はぶ)かれます。中学および高校では授業放課後ボランティア活動の一環として週一回ロボット制作活動を行います。企業が部品を提供し<校内・県・全国コンテスト>に向けて研鑽(けんさん)を積むかたちになります。いわば大学における<産学共同>の《中等教育版》ですね。このなかから<才能豊かな子どもは英才教育プロジェクト>へと導くルートを用意します。

 今までの日本の学校教育は<横並びいっせい教育>であり、いっさい<英才教育の特別ルート>は存在しませんでした。まして英才を見つけ育てる>ことにはきわめて無頓着(むとんちゃく)でした。が、<高度メカニズム・グローバル化時代>を迎えて対応策を講じないと先進各国に<国際競争力で負ける>しかありません。今や国力は<国民の勤勉さ>のみに頼れず、<英才を見つけ育てる教育力>によって差がつく時代となりました。それほど《科学技術力の蓄積》が問われているわけですね。

 第三に、芸術立国としての日本の立ち位置>です。<円安>ではからずもインバウンド(外国人観光客)に<日本文化の良さ>が知れ渡りました。美点が知られたのは良いことですが、<観光面での売り上げ増加>に特化され、美しい国ニッポンの価値>が上がったと手放しでは喜べません。<芸術立国としての日本文化のなかみ>は意外に貧弱です。芸能人の高給ぶりに比較して芸術家たちの待遇(たいぐう)はよくありません。その設備投資も貧弱です。したがってマスコミの<現行の安易さ>が金融市場における<短期投資>に傾きすぎる欠点と同じです。                         (175-2へ続く)