信 14巻6号 

        2024年6月1日発行 

          by 花 墨 汎 潤

-「ロータス・ワールドへのいざない」

   その(172-1)   

 

A569 まず<ニッポン診断>という記事を見てみましょう。こうあります。

「国連非政府組織(NGO)のオックスファムが、世界で拡大する衝撃的な報告を発表した。来年には最も裕福な上位1%の人々の資産総額が世界全体の富の半分を超え、残り99%の人々の資産を上回る可能性があるという。

 昨年の上位の平均資産額は270万ドル(3億円)に達した一方、庶民の資産は平均で3851ドル(約45万円)。最富裕層80人の資産総額は今や、下位50%の35億人の資産に匹敵するというのである。

 それでも全体で見れば世界は一昔前より豊かになっていると主張する意見もある。しかし、米国の経済学者アンガス・ディートン氏によれば、中央アフリカやギニアといった国々は、むしろ半世紀前より貧しくなってきている。豊かさの恩恵は世界で不均衡に配分されているのだ。」

「フランスの経済学者トマ・ピケティ氏は、この不均衡な富の配分による社会不安の拡大に警鐘を鳴らし、個人が国境を超えて保有する純資産総計に課税する「グローバル資本税(富裕税)」の導入を主張している。」「近年続々引き起こされるテロの惨劇は、文化的・宗教的なあつれきという側面と同時に、世界規模での格差拡大と、局地的な人口動態の不均衡という背景も視野に入れて考えるべき問題だ。」(埼玉新聞2015年2月2日号抜すい)

 この記事から10年近く経っているのに、いっこうに<経済格差>は縮(ちじ)まるどころかかえって拡大している感があります。エリート指導層が本気でこの問題に対処していないからですね。この難題にどう向き合えば良いのだろうか? どう思いますか?

Q569 どうしたらいいか、まったくわかりません。何か良い打開策がないものでしょうか? 

A570 富裕税とか累進課税強化とか何らかの打開策がとうぜん出て来ていいわけなのに、まったくその声がありません。こうなったら、富裕層に逆の方向からアタックを試みるしかでしょう。富裕層の社会貢献度に応じて課税率を引き下げる<貢献度座標>を用いてみたらいかがでしょうか? 自分が考案した<時間座標(2)略称(社会貢献座標)>を説明しましょう。これをうまく応用できれば自然と<世界の分断を解くカギ>が見つかるかも知れない、という気がするんですね。

Q570 ええ? それはどんなものさしですか?

A571 X軸に<普遍性(公益・マス性)か特殊性(私益・エリート性)か>、Y軸に<社会貢献性か社会破壊性か>の条件をとります。第一象限は、実業家が私益は考えず<公益事業にすべてを傾注>し、もしもうかったらその利得のすべてを<慈善事業に捧げる>ような事例ですね。こんな企業経営者には<税率をもっとも下げる、いや課税しない>くらいの最高優遇をします。それどころか引退後国から<手厚い名誉年金も受ける>ことにもなるでしょう。とうぜん<国民栄誉賞>も受けますね。      (172-2へ続く)