2024年5月17日発行

「花の墨通信」14巻5号・号外 

        (回答)花 墨 汎 潤

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

     第88回    

荒れる世界をどう捉えるか」 

            その(3-2) 

 

A12 最後の第十のリスクは<アメリカの分断がもたらす企業リスク>です。例えば、「フロリダ州は小学校三年生までは教室で性的指向や性自認について触れることを禁止する法律を制定。これをディズニーが批判すると、知事はディズニーに対する税の優遇税制を停止しました。」(週刊文春、2024年1月25日号、「池上彰のそこからですか」より抜すい)

 これは<ジェンダー・フリー(性差の自由)>問題ですが、保守派の共和党とリベラル色の強い民主党との間で意見の違いが分断を招きトラブルを起こしています。<自由と責任を問うモデル国家アメリカの先端>にこうした諸問題が起こり、その<正しさ(コレクトネス)>が問われているわけです。

Q13 なるほど、すべてとても難しい問題ですね。誰が大統領になっても打開は無理でしょう。こんな荒れる世界をどう切り開けばいいのか。まるでわかりません。ぜひ何か打開のヒントを聞かせてください。いかがですか?

A13 では、有識者の考えを参考に探求してみましょう。まず第一に浮かぶのは<女性の側からの発言>です。もっと女性の人材が増えて<超少子高齢化>を止める諸策のチャレンジが必須ですね。そこでわが国保守層にとって貴重な有識者の発言を見てみましょう。コンビニで「週刊新潮」の最後の方に出る櫻井よしこの「日本ルネッサンス」を一読して、その内容によって買うようにしています。ほとんど<国防の観点>からの見方が多いので、その場合は論調がわかるので買いません。ところが今回のように異色の記事はめずらしく買う気になったのでした。「伊藤賢一は優しい天才だ。」で始まるこの記事を紹介しましょう。

「2011年から19年まで、科学の分野で世界の最先端を走る米マサーチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボでアジア人として初めて所長を務めた。現在は千葉工業大学学長として、社会に大いなる変革をもたらそうと挑戦中だ。伊藤氏の変革は米欧の真似ではない。日本の文化、伝統、哲学を踏まえて、日本独自のあたたかい変革で人類全体に貢献しようというものである。」

「伊藤市が4月発売の著書『普通をずらして生きる』(プレジデント社、松本理寿輝氏との共著)の中で語る。「誤解を恐れずにいえば、私がMITで出会った人々のほとんどは、私の目にはニューロダイバージェントに映りました。またスティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ、マーク・ザッ―バーグやイーロン・マスクといったテック系経営者たちの奇矯な言動がクローズアップされてきたことも、ニューロダイバーシティの観点から評価すべきなのかもしれません。」

 ニューロダイバーシティという言葉を説明する前に、『普通をずらして生きる』からもうひとつ拾ってみる。

 自閉症を持ちながら動物学者として世界で活躍してきたテンプル・ブランディという人物はしばしばこう語るという。「ほとんどの天才は自閉症である。」と。           (明18日へ続く