2024年5月16日発行

「花の墨通信」14巻5号・号外  

        (回答)花 墨 汎 潤

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

     第88回    

荒れる世界をどう捉えるか」 

           その(2-2)

 

A7 その際に排出されるCO2を回収すれば「ブルー水素」、回収しなければ「グレー水素」となる。

 それより少量の製造方法として、再生可能エネルギー由来の電気で水を分解して生成するのが「グリーン水素だ。

 だが、コロラド鉱山大学のメンリ・チャン氏は、天然水素(「地中水素」あるいは「ゴールド水素」と呼ばれる)の利用はブルー水素やグリーン水素よりクリーンで安価になると説明する。「ゴールド水素のゴールドラッシュが到来しようとしている」と同氏はAAAS(全米科学振興協会)の年次大会で述べた。」

「これまで科学者の間では、地中の微生物のエサになったり、化学反応で他の化合物になったりするた

め、地表の近くに純粋な天然水素はほとんど存在しないはずだとみられていた。

 だが、コロラド大学ボルダー校のアレクシス・テンプルトン氏は、鉄分を豊富に含む特定の鉱物が水と反応して水素が大量に生成されているというのが現在の地質学者の見解だとAAAS年次大会で述べた。」(日経電子版、2024年2月18日付、英フイナンシャル・タイムズ特約抜すい)

 この記事の画期的なところは、従来油田と天然ガス田にばかり目が向いていたけれども、天然水素はもっと条件がシンプルだという点です。じかに<掘削孔から減圧せずに噴き出ている>んですね。現在南欧アルバニアと西アフリカのマリ共和国でその開発が進んでいます。こうした先端エネルギー開発研究にはまるで臆病で、まさに日本は<縮み志向>です。自民党や産業界内の利権がからむのでムダな<バラマキ行政のみ盛んで、結局<カネの無駄遣い>をしてしまうわけですね。そうは思いませんか? 

Q8 まるで同感ですよ。その現状を<黙過=見て見ぬふり>するマスコミも有識者も情けないです。<国民大衆の無知を目覚めさせる知的啓蒙(けいもう)>が日本では非常にいま弱いでしょう。情報発信者にこうした<知的啓蒙への無関心>がきわまっていますよね。これはいったい、なぜなんですか? 

A8 そのわけは<戦前の徹底した言論統制の反動>ですね。知識人が戦後みな極端に<臆病になってしまった>のです。<社会主義の退潮>もあります。コミュニズム(共産主義)にまるで魅力が感じられないのです。わずかばかり手にした<富に小満足>して<チャレンジをしなくなった縮み志向>も大きいです。ゆえに積極的な発言が目立つのは保守岩盤層だけですね。まさにリベラル・サイド(左翼側)は<何か言えば唇寒し>のありさまです。

Q9 この世界が荒れて逆巻(さかま)いているのに、このまま黙っているわけにはいきませんよ。ぜひ何か良きヒントを、・・いかがでしょうか? 

A9 では、ジャーナリスト池上彰が<今年の10大リスク>を紹介しているので、まずそれが何か並列してみましょう。これは<ユーラシア・グループ>の話です。1998年に設立された米のコンサルティング企業で、<世界の地政学的リスク>を専門に扱う異色の組織なんですね。(明17日ヘ続く)