2024年5月16日発行

「花の墨通信」14巻5号・号外  

         (回答)花 墨 汎 潤

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

     第88回    

荒れる世界をどう捉えるか」 

            その(2-1)

A6 三大事変の第二はトランプに見方する保守岩盤層の動きです。実は現代世界の主軸をなす判断基準は快感原則の優位>にあります。これは別名を<ポピュリズム(大衆迎合主義)>と言えるほど現代は<大量消費社会>の生み出す<快感原則の過剰な氾濫(はんらん)>にさらされています。その渦からもはや逃れようがありません。この風潮に反対してもムダです。

 けれども理知のかけらもないトランプ大統領のうちだす<アメリカ・ファースト>政策は、その<快感原則の優位になる真っ正直で無謀ともいえるものです。紹介した新聞記事は<日本のCO2が順調に減っているのは産業空洞化が主因なのだから離脱せよ>という意見ですが、だとしたら主犯は<産業空洞化>であって<パリ気候協定>ではありません。世界の<気候温暖化はどんどん進んでおり、先進国が先頭を切ってその阻止(そし)に当たる>というのは間違っていません。

 ゆえに産業空洞化>のもとをなす<グローバル化の大波>が問題なんですね。また肝心のテーマである<エネルギーの低炭素化と省エネ化>、これがまだ<24%しか達成できていない>ことが大問題なんです。・・<技術論的視野>でみると、これはハイ・テク革命の問題で、その要点の一つは投資力の問題であり、もう一つは<基礎研究の持つ問題点>なんですね。わかりますか?

Q7 とすれば<投資力の問題>ははっきりしていますよね。<産業空洞化>のもとをなす<グローバル化の大波>が避けられないわけですから、どうにもなりません。日本は逆に世界の先端を走る<超グローバル化戦略>にのりだすべきではありませんか? 逆手をとって日本が米中に先行して<ハイ・テク革命戦略>にもっと大胆に踏み出すべきなんじゃありませんか? 

7 まさにその通りでしょう。その成長戦略の第一は<核融合で先行>することです。すでにフランスで米中ロ仏日韓インドが実験炉の<EATER(イーター、核融合開発連携組織)>を建設中ですが、これだけに頼っていてはいけません。各国と協調してもっと<研究のわくを広げる>必要があります。巨大ITフォーマット(情報基盤体)たるGAFAMなどと<共同研究>を進める投資にもっと大胆に踏み出すべきなんですね。

 第二に、日本は海に囲まれている地政学的利点を活かして<クリーン・エネルギー>開発にのり出すべきです。当面のその先端は<地中水素の開発>ですね。その最新記事を紹介しましょう。

「地質学者は、二酸化炭素(CO2)を排出しない新エネルギー資源の「ゴールドラッシュ」が始まると指摘し始めている。これまでは注目されてこなかった、地中に存在する天然水素のことだ。

 米地質調査所(USGS)の未公表の調査結果によると、全世界に5兆トンもの水素が埋蔵されている。」

「燃料と工業原料(特に肥料用アンモニアの原料)としての水素はこれまで、天然ガスに含まれるメタンの改質でつくられてきた。                        (2-2ヘ続く)