「花の墨通信」14巻4号・号外
(回答)花 墨 汎 潤
ー 相談室「パンセ・ソバージュ」
「出版不況をどうのり切るか」
その(6-1)
A21 全国の自治体のうち約4分の1はすでに書店がなく、実際に地域による文化格差は生まれている。」
「文化の基盤である活字や本に人々が広く触れる環境がなければ、新たな魅力的な発想は生まれないだろう。韓国では、日本の文化庁やスポーツ庁などにあたる文化体育観光省直轄の「韓国出版文化産業振興院」が中核になって支援事業を担当。独立系書店と呼ばれる中小の書店が活気づく。」
「街の書店は、インターネットの普及による紙の出版物の不振やネット書店の伸長により苦境が続く。日本出版インフラセンターによると、2013年に全国1万5602店あった書店の総店舗数は、22年に1万1495店に減った。」(読売新聞2024年3月5日号抜すい)
スマホの超便利さに比べたら新聞や本はまどろこっしい。これではもう日本だけではなくてグローバル化の大波のなかで<避けられない精神文化の劣化(れっか)>を早晩招くでしょう。いかがですか?
Q22 返す言葉がありません。<深刻な危機感>とありますが、エリート指導層はまるでこの点には気がついていないでしょう。この際、まだ漠然としか感じられないその辺を掘り下げてみてください。どうでしょうか?
A22 では、<電波デジタル文明>と<活字アナログ文明>の違いをもっと深く考えてみましょう。何か良いヒントが生まれるかも知れませんよ。その違いはこう列挙できます。
<E = 電波デジタル文明> < P= 活字アナログ文明>
・イメージが鮮明で即自的である。 ・イメージが比較的不鮮明で対自的である。
・イメージが流動的でリアルである。 ・イメージが滞留して空想的に膨(ふく)らむ。
・情報が拡散するフロー性を持つ。 ・情報が凝集するストック性を持つ。
・時間が瞬時に流れる即時性がある。 ・時間の流れを待つ待時性がある。
・自然環境に対して順応的である。 ・自然環境に対して独立的である。
・言葉の介在が中心的とならない。 ・言葉の介在が中心的となる。
・言葉の組み立てが少ない。 ・言葉の組み立てが多い。
・機械言語と論理が中核的となる。 ・機械言語と論理を外れた表現が多様である。
・機能的な記号が中心のサイン性を持つ。 ・感覚的なシンボル(象徴)性が豊かである。
・情緒・情動表現が広がらない ・感覚や感情表現を豊かに広げられる。
・リズム・躍動感は開放的に外面化する。 ・リズム・躍動感は葛藤し内面化する。
これだけの違いをみても、E 文明は<機能性・開放性・外面性・拡散性・理知面>に優れ、これに対してP文明は<多様性・閉鎖性・内面性・凝集性・情緒面>に長じていますね。 (6-2へ続く)