2024年2月18日発行

「花の墨通信」14巻2号・号外  

         (回答)花 墨 汎 潤

ー 相談室「パンセ・ソバージュ」

                  第85回          

「シン・パワ・ポリとはなにか」 

                                   その(4-1)

 

A15 30年先と言うけれどもあいまいでした。いわば当てにできぬ<カゲロウ発言>でした。発言した当の研究者はそれまでに亡くなってしまうからですよ。「これまでの未来予測では50年代だった。「50年に温暖化ガス排出の実質ゼロ」を達成したいと考えるならば、核融合発電に頼るのはリスクが大きい。夢のような将来の選択肢が一つ増えたとしても、再生エネなど既にある温暖化対策技術の重要性は変わらない。」(日経、2023年8月10日号)

 この論調は<核融合開発>を技術論的な視野でしか捉えていません。そのためにごく普通の<矮小化(わいしょうか)した見方>つまりX軸(過去から現在にいたる経過)中心の<カゲロウ発言>でしかないわけですね。一方先進各国は軍事技術開発となると膨大(ぼうだい)なカネをつぎこんで、外交戦略などは二の次にして無人機やミサイル遠距離弾開発、人口衛星を使ったサイバー攻撃、有事にそなえる合同演習などのY軸(現在から将来への準備)には余念がないわけですよ。その軍事開発の先端に<核融合>研究があるのです。

 そのゆがみがいちばん露呈しているのが<原発再稼働論議>ですね。そこには米中ロ日を中心に目先の<電源補給>しかみない浅はかな考えがかいま見えます。もし<核融合開発>に成功したら、さっそく核弾頭に搭載して<小型水爆>をつくり、<核抑止力で優位に立つ>といった愚かな発想しか思いつかないわけですね。この事態をどう思いますか?  

Q16 情けない! 世界平和がより遠ざかります。絶対この<軍民共用化作戦>を阻止(そし)しなければなりませんね。一刻も早く世界唯一の被爆国日本がリードして<核融合国連の創設>をとなえるべきでしょう。国連安保理の<拒否権廃止も改組も困難>だとしたら、<核融合国連を上院とする二院制創設>の提唱しかありませんよね。

A16 まさにその通りです。したがって第一の芯(しん)の通ったシン・パワ・ポリ(真の政治力学>とは日本側から世界に向けて<みんなで核融合を共有しよう。ひとり占(じ)めは止めよう>と提案し、具体策として<核融合国連の創設>をはかるわけですね。

Q17 質問の意味が世界のエリート指導層にはわからないのじゃありませんか、いかがですか? 

A17 ええ現行のいかなる<国連改組>も賛成ではないでしょう。なぜなら安全保障理事会の<拒否権発動>が伝家の宝刀となって超大国のエゴを許しています。その特権に超大国はぬくぬくと安住しているわけですね。ゆえに現行の国連をそのまま下院として実行機関に格下げし事実上<半ば無力化>せざるを得ません。高い理念に立つ<核融合国連>を上院として創設し、それ相当の権威を付与しなければなりません。大変な試みではあるけれども、これは<高邁(こうまい)な精神>の発露ですよ。

Q18 そんな<先駆(が)け>が日本にできたら素晴らしい。けれどそこまで大胆に肚(はら)が坐っている政治家は今の国会にはいませんよね。                (4-2へ続く)