私の好きな役者、玉三郎さん。彼の踊りの師匠は義母藤間勘紫恵さん。あかし会で何度となく踊りを拝見していますが、身体の動き雰囲気が玉さんは良く似ておいでです。手の運び、そして微妙なニュアンス、表現する動きが、教えに沿って同じようになっているからでしょう。勘紫恵さんの丁寧で優雅な踊りが玉三郎さんの踊りにも継承されています。逆に教える者の責任の重大さを感じますね。師匠となる事は、弟子の芸に対して責任を持つという大任を背負う事になるのです。
生半可な思いで教える立場になることは、可哀想なお弟子を造ると言うことになりかねません。伝承とは己の身体を通して伝えていく事。安易な考えは、伝承そのものの危機を招く怖さを秘めています。