あついですねえ。
またまたご無沙汰です。
いろいろと身辺忙しく、なんだかきもちの晴れない今日この頃です。

さて、最近は本の感想しか書いてない気がするけど・・・。



●クロコダイル路地 Ⅰ・Ⅱ / 皆川 博子

以前、この作家さんの「海賊女王」にクラクラときて
今回の新作、楽しみにしてました。
新刊2冊、申し訳ないけど図書館借り本です。


「海賊女王」はイギリスを中心とした物語で
今回の舞台はフランス革命真っ只中のフランスから始まり、
その後イギリスにうつっていきます。
毎度ながらその語り口は翻訳本とみまがうタッチで
時に流麗に時に荒々しく
フランス革命の荒波に揉まれてゆく様々な階級の人々を
交代で語り部として登場させています。
肉親のための復讐、ご主人のための復讐、
そして自分自身をおとしめた者への復讐。
革命の嵐が終わって平穏な日々となってもその炎は消えず、
復讐者自身の魂を痛め続けます。
その象徴が、雑踏のなかたまたま見かけた
「ワニ」となっています。
歪な、恐怖の対象であるワニの幻影は
しばしば主人公を苦しめます。

前に読んだ「戦場のコックたち」とくらべて
戦場の空気の中に満ちる血中濃度が濃い・・・
それは、他国との戦争とはちがって、
「内乱」のなかでたち込める
ある種の狂乱さ、残酷性が
際立っているからかもしれないですね。
自分の国で殺しあうというアイロニー。
裕福だった主人公は肉親をギロチンで殺され、
その原因となった人物を残りの人生のすべてをかけて
おいおとそうとしてゆき・・・。

ただし、今回の作品は
でてくる登場人物がみなあまりにも
「病んで」いる人がおおいので、
感情移入がなかなかしにくく、
読んでいて辛い感じがしました。
とはいえ、ほんとにこの人は
エネルギッシュな人なんだろうなあ。
いつもながら作品が帯びる熱には
脱帽です。


●君の名は。 / 新海 誠

いま、ブームがきてるんでしょうか。
それはいいことなのか、よくないのか・・・。
マスコミがポスト宮崎駿として
細田さんや新海さんを持ち上げるけど、
正直なんだかなあって思っちゃいます。

いや、いい作品だからこそ。
丁寧にあつかってほしいのです。



はじめて新海さんの作品を見たのは
もうだいぶ前、たまたま夜BSを見てた時。
あのときは「ほしのこえ」だったな。
設定は一種のファンタジーなんだけど
時間と空間を超えて
引き裂かれてゆく若い二人に
すごく切なくなりまして。

そのあと、「言の葉の庭」。
定期購読していたころの「ダヴィンチ」に
連載されていたとはつゆ知らず(笑)
やはりBSでやってるのを見ました。
新海さんの作品は
金曜ロードショーみたいなCMのあるところでは
見たくないなあ。
静謐な作品はCMを入れてほしくないです。
オトナのアニメって感じでしたね。


そしてこの夏、
新海さんの新作がでると。
角川文庫でさきにノベライズされてるので
ついつい、買ってしまいました。

わ、若い。
おばさんにはまぶしずぎる(笑)。
この人の作品はいつも
「距離感」がクローズアップされてるけど、
今回も相当なものです。
時間差さえ二人の障壁になる・・・。
まっすぐな相手への想いが
最後、成就するところがなんともいえませんね。
映画ではどんなかんじになってるんでしょう、
どストライクな恋愛映画、ですよ。