『鎌倉うずまき案内所』青山美智子(著)

 

 

 

 

 

【内容情報】(Amazonより
主婦向け雑誌の編集部で働く早坂瞬は、取材で訪れた鎌倉で、ふしぎな案内所「鎌倉うずまき案内所」に迷いこんでしまう。そこには双子のおじいさんとなぜかアンモナイトがいて……。YouTuberを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。気づけば40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。平成の始まりから終わりまでの30年を舞台に、6人の悩める人々を通して語られる、心がほぐれる6つのやさしい物語。最後まで読むと、必ず最初に戻りたくなります。
 
 

虹感想

リアル読友の Kさんからお借りした文庫本。

青山さんの作品をお借りしたのは2冊目。

Kさん、青山さんがお好きなようですウインク

 

 

物語は、2019年から6年ずつ遡って六人の悩める人々を主人公に書かれた連作短編集です。

 

悩める人々は皆、内巻さんと外巻さんの双子のおじいさんが居る不思議な相談所に迷い込み、悩み解決のヒント貰います。

このあたりのファンタジー要素も、そして、登場人物が次々に繋がっていくところも、いつもの青山さん。

今回はこの繫がりが特に面白くてついつい、前の章に戻って読み返したくなります。

 

●二〇一九年 蚊取り線香の巻
●二〇一三年 つむじの巻
●二〇〇七年 巻き寿司の巻
●二〇〇一年 ト音記号の巻

●一九九五年 花丸の巻
●一九八九年 ソフトクリームの巻

 

 

各章でその年に当たり前に使っていたアイテムや流行っていた曲、社会の風景が書かれていて、その頃の情景が思い出されて懐かしさが込み上げてきますラブ

 

 

2019年は、平成から令和に変わる年。

令和の元号が発表される時、私は、息子と二人、中部地方の新幹線の駅前歩道橋の上でその発表を見ていた。

長い長いトンネルから抜け出した時期。心がポカポカだったのを思い出しました。

 

 

ストーリーとして良かったのは、

「二〇一三年つむじの巻」

タモリの笑っていいともが終わる年、

YouTuberを目指す息子を改心させたい母親のお話。

今の私の心に響きました。

子育て子離れ…お悩み中の方におススメです。

 

 

「二〇〇一年 ト音記号の巻」

同じ中学に通う乃木君いちか

仲良しグループからはみだしてひとりになるのはこわいいちか

そんないちか乃木君との交流で変化していく。

ラストにジンワリハート

ト音記号の意味にも興味を惹かれた。

 

最終話

「一九八九年 ソフトクリームの巻」

大正から昭和に変わるはじめの日に生まれた文太が主人公。

時は流れて昭和の最後の年、

文太が60代。父が教師を退職後に開いた古本屋を継いで営んでいます。

文太が胸に抱えた虚無感の訳は…

「違うよ、文太さん。何かを残すためじゃなくて、この一瞬一瞬を生きるために、私たちは生まれてきたんだよ。生きるために生きるんだよ。」マーちゃんが文太に言った言葉にジーンときました。

 

 

全編に共通して軸となる人物が黒祖ロイドキラキラ

 

 

巻末に「平成史特別年表」が付いているのを読後に知りました。

いつか黒祖ロイドを意識しながら最初から再読したい照れ

最終話から読んでいくのも良いなOK

 

 

この作品、青山作品の中でも好き度上位の作品です飛び出すハート

 

 

 

最後までお読みいただき有難うございました(*^^)v