長ソファで、ジェジュンの膝枕で眠るユノと、そのまま寝ちゃったジェジュン。

 

「ふふふ。ユチョン、あれ見て」

「ハハハッ。平和だなぁ」

 

日々、スーパーαとして、チョン家当主として、CYグループのトップとして、大きな重責を負いながら働くユノを見るのが、ユチョンは辛かった。

同じチョン家に生まれながら、その全てをユノが請け負い、自分はほんの少しのサポートをするだけですんでいるのは、全てユノのおかげだ。

自分は決してユノの様にはなれない。

だが、その事でユノから責められたことは一度としてないのだ。

 

一度ユノに聞いた事がある。

こんな毎日が辛くないのか、と。

 

「辛くないと言えば嘘になる。だがこれも運命と思っている。どうせやるなら出来る限りやりたい。お前やチャンミンがいてくれるからこそ出来る事だ」

 

兄であるユノを支える事は当然だと思っている。

だが、弟としてユノの安心できる場所、ユノが安らげる場所を作ってやりたい。

ユノの負担を減らす事が出来ない自分は、何が何でもその場所を守ってやりたいと思っていた。

 

ヒョンの安らげる場所は、ジェジュンなんだね。

俺が、絶対守ってあげるから…。

 

 

「ハワイ到着~。アロハ~♪」

 

行先は、海外初心者のジェジュンも楽しめるハワイにした。

バカンス上級者のユノ達も、逆に久しぶりで、ハワイ旅行にワクワクしていた。

 

ジュンスとジェジュンが楽しそうに空港に降り立ち、ピーカンの青空に向かって手を広げていた。

ふざけ合う2人は、まるで毛色の違うネコがじゃれ合っているようだ。

ユチョンと共に、心の中で「可愛いのぅ♡♡」と呟きながら、ホテルに向かった。

 

当然チャンミンが、5つ星ホテルのスウィートを用意してくれたが、ここでもジェジュンの驚きは半端なかった。

 

「えっ何この部屋。広っ!高っ!明るっ!豪華ぁ~~!!」

 

バタバタと部屋中を走り、いくつもある扉を開けては、イチイチ驚いていた。

長いフライトも問題なかったようで、ユノはニコニコ笑いながら好きにさせていた。

荷物を適当に広げたら、ジェジュンは壁一面の窓に張り付いて、景色を眺めていた。

 

「ジェジュン、どうだ、気に入ったか?」

「ユノさん…最高です!」

 

ジェジュンは、ジュンスに言われた通り、ちゃんと素直に喜びを言葉にして伝えようと思っていた。

だが、ユノが用意する「ジェジュンを喜ばせる」事柄は、想像できるものではなく、最高です!と答えるしか出来なかった。

だがユノはジェジュンの「最高です」の一言に、顔をほころばせて喜んだ。

 

「ジェジュン、海で泳いでみるか?」

「あ…でも僕、泳げません」

「大丈夫。海に入るだけでも楽しいぞ」

「はい!行きますっ!」

 

すぐにユノはSPやユチョンに連絡を取り、ジェジュンには用意していた水着を渡した。

ビーチに向かうと、すでに雇っていたコーディネーター達が、パラソル等を立てて準備していた。

ジェジュンが、おっかなびっくり波打ち際でオドオドしていると、ジュンスがドンと突き飛ばした。

ばしゃん!と海にひっくり返ったジェジュンは、それでもケラケラ笑っていた。

 

「あ!本当にしょっぱいんだね!」

「ハハ!ジェジュン~♪」

「待て待て~♪」

 

きゃあきゃあ♪と楽しそうな二人を見ながら、ユノとユチョンは心の中で「尊い♡♡」と呟いた。

最初はジェジュンと二人きりがいいと思っていたユノだったが、こんなに楽しそうなジェジュンを見られるなら、ユチョン達と来てよかったと思った。

 

「はは…最初から全力だなぁ。あぁ~可愛いジュンス♡ほら、見てよあの笑顔。最高だぜ」

「子供同士ちょうどいいんじゃないか?ふふ可愛いなぁ。ここにいる誰よりもジェジュンは可愛い♡」

「一番はジュンスだろ。ジュンスは意外と運動神経がいいんだぜ?」

「ジェジュンは可愛いだけじゃなく綺麗でもあるからな。ディナーの時何を着せようかな。何来ても似合うだろうなぁ。コーディネーターに連絡するか」

 

全く話が嚙み合っていないユノとユチョンだが、お互いのパートナーが愛しくて仕方ないらしい。

浮き輪を持ってジェジュンに投げると、ジェジュンは自らスポンと浮き輪に入った。

浮き輪ジェジュンとユノは、二人でゆらゆら波に身を任せる。

 

「あ!足の下で砂が流れてる!水が凄く綺麗!」

 

ユノは浮き輪の上にジェジュンを座らせ、もう少し深い所へ移動する。

ジェジュンは眩しい空を見つめ、手をかざしながら、風を感じていた。

晴れ渡る青い空、優しい波音、美しい海の煌めき、そして優しいユノ。

 

「ユノさん…こんな綺麗な所が世界にはあるんですね…。本当に、世界は綺麗だ…」

 

ジェジュンの心からの言葉に、ユノは新鮮な喜びを感じた。

 

子供の頃から、世界中を旅行し様々な文化に触れ、特別な経験をたくさん積んだ。

〇〇の××が美味いとか、〇〇から見る夜景が絶景とか、なかなか人が味わえないもの、見ることが出来ないものに触れてきた。

ユノが望むより早く、それ以上のモノを多く与えられてきた。

ただ、自分は「知っている」だけで、ジェジュンのような感想を持ち合わせてはいなかった。

同じように経験値だけ多い金持ち達と、マウントを取り合っていただけ。

 

「本当に世界は綺麗だ」という、ジェジュンの感想に、ユノも初めて経験したような気持ちになった。

これからもジェジュンと共に、新しい感想を経験したいと、心から思った。

 

「俺はジェジュンと一緒に来られたことを、心から嬉しいと思うよ。ありがとな」

「えぇ?お礼を言うのは僕です!こんな綺麗な世界に僕を連れて来てくれて、ありがとうございます!」

 

チュッとキスをすると、アワアワ!と慌てるジェジュンが可愛くて。

ユノは、波に身を任せながら、空を見上げ髪を掻き上げた。

鍛え上げた肉体が濡れて輝き、熱い胸板や太い二の腕から、男らしさが漂っている。

 

…ユノさん…最高にセクシーですぅ…♡

 

海から上がると、コーディネーターがトロピカルジュースを手渡してくれた。

パラソルの下、ユノ達はカクテル、ジェジュンはジュースで乾杯をした。

ジュンスとユチョンは白いチェアに寝そべって、いちゃついている。

ユノはコーディネーターと話をしていた。

 

あ。トイレ行きたい。しかも大きい方。トイレどこかな…。

キュルル~あ…ヤバイかも。でも「ウ〇コ行きたい」なんて言えない…だって恥ずかしいもん(/ω\)

そうだホテルに戻ろう。サッと行けばいいよね。急げ!

ジェジュンはホテルに向かって走り出した。モレル~

 

ザザッ!!

 

大柄な外国人数人に、ジェジュンは一瞬で囲まれた。

 

「えぇっ!な、なに?」

 

オロオロしていると、後ろからユノが現れ、何か英語で話すと大男たちはいなくなった。

 

「ジェジュン、急に動くな。どうした?」

「あ、あの人達は…?」

「現地のSPだ。ジェジュンに言うと楽しめないかと思って黙っていた。だから急な動きはするな」

「は、はい…」

「それで?どこに行く気だ?」

「あ、トイレに…」

「分かった。一緒に行こう。ちょっと待ってくれ」

「ユノさん…緊急事態ですっ!もう待てませぇん!」

「わ、分かった。すぐ行こう!」

 

オシリを押さえたジェジュンを、ユノが担ぐように抱きかかえ、ホテルに向かって猛ダッシュした。

ユノのおかげで漏れずに済んだジェジュンは、エヘエヘと恥ずかしそうに笑いながらトイレから出てきた。

 

「間に合ったか?」

「はい…エヘヘ」

「腹、壊したのか?」

「ちょっと冷えたみたいです」

「部屋に戻ろう」

「え?ジュンスさん達は…」

「構わん。アイツらはアイツらで好きにするさ」

 

部屋に戻ったユノはバスタブにお湯を張り、ゆっくり温まるように言った。

しっかり温まって風呂から出ると、薬を渡され、ベッドに入るよう言われた。

大げさだなぁ…と思いながらベッドに入ったが、はしゃぎ疲れたジェジュンは秒で寝た。

 

「お?ジェジュン達部屋戻ったって。俺たちも戻ろうか」

「え?どうしたんだろ」

「お腹ピーらしい。少し休むって」

「そっか。…僕、もう少しここにいたいなぁ。風が気持ちいい」

「いいよ。ジュンスが飽きるまでここにいよう」

「一緒に海で遊ぶなんて久しぶりだね♡」

「そうだなぁ。こういうのもいいな♡」イチャイチャ

 

 

 


魅惑のマーメイド♡(お腹ピーだけどw)

 

 

 

※※※

ジェジュン間に合って良かったねw

旅行に行くと、理解が深まり、距離もグッと近くなりますよね♡

ユノとユチョンが、自分の恋人の事しか見えてない所がツボですw