ジェジュンが怒っている。

ぷくうと頬を膨らませて赤い顔をして、プンプン怒っている。

 

昨日「めちゃくちゃに抱いて」と言われたから、本当にめちゃくちゃに抱いたら怒ってしまった。

2回失神し、ジェジュンが起き上がれたのは昼を過ぎてからだ。(そりゃ怒るわ)

 

「ジェジュンア~もう機嫌直して♡」

「知らないっ!ユノ兄のバカっ!」

「だって、お前が言ったんじゃん。ゆのひょーん、めちゃくちゃに抱いてぇって」

「言ったけどっ!…(まさかオモチャ使うなんて聞いてないっ)」

※ろーたーです。本気のヤツじゃありません。どうやって使ったかは内緒です(/ω\)キャ

 

「でもお前すんげーイッテたぞ?えぇーと、1回、2回、3回…」

「もうっ!数えないでっ!」

「アッハッハ。でも気持ちよさそうだったぞ~?」

 

ギッと睨まれて、ごめんごめんと謝る。

後ろからそっと抱いて、優しく頭を撫でながら、許してジェジュン♡と何度も耳もとへ囁く。

 

「もう、無理って何回も言ったのに…っ」

「ぇ~でもお前のアソコは潮吹いて喜ん」

 

バスっ!枕でシバかれたユノ。

 

ジェジュンが何かに気づいたようにふと顔を上げた。

 

「…ユノ兄…もしかして、わざと落ち込んだ顔したんじゃ、ないよね…?」

「えっ?いやぁ~そ、そんな事…ハハッハハッ」

 

じろりとにらんだジェジュンの大きな目に、何も言えなくなる。

 

「そうなんだね…最低っ!僕、本気でユノ兄の事慰めたいって思って…シクシク」

「その気持ちは分かってるぞ!お前の優しさが伝わったから今こうして元気に…」

「嘘っ!バカっ!最低っ!嫌いっ!」

「お前…すんごい連続で言ったな…」

 

「あぁ~僕、あんなことまで…もうおムコに行けないっ!」

 

「心配すんな!俺が責任取ってやる」

 

「え?」

 

「ジェジュン…俺が責任取る!だから…俺たち、ずっと一緒にいよう!」

 

「……」

 

「ジェジュン?」

 

「ダメ!」

 

「え?」

 

「こんなパンツ一丁でそんな事…ダメ!やり直し!」

 

頬をぷくっと膨らませて、プロポーズはもっとロマンチックなものなの!と怒っているジェジュン。

あまりの可愛らしさに頬が緩み、蕩けそうになる。

 

「分かった。またちゃんと言うよ。ロマンチックなやつな!ハハッ」

 

ギュウっと抱きしめると、ジェジュンの香りに包まれる。

 

あぁ…幸せだなぁ…♡

仕事は無いけど、俺にはジェジュンがいる。

こいつがいれば、いつかきっと上手く行く。

 

根拠のない自信が沸き上がってきた。

 

 

 

ドラマ「ユアンとミョン」のDVDが出来上がった。

インタビュー、NGシーンを盛り込んだメイキングDVD90分付き。

これが、飛ぶように売れているという。

 

ユノの噂などお構いなしのこの売れ行き。

その売れ行きは、改めてユンジェ人気の手堅さと、スターユノユノの底力を見せつけた。

 

 

スタジオの隅っこで寝落ちしているジェジュン、携帯を弄っているジェジュンの膝枕で寝るユノ。

前室で出番を待ちながら、ジェジュンの肩を抱き話す二人、真剣な顔でセリフを合わせる姿。

水中キスシーンで倒れてしまったジェジュンや、抱きかかえるユノの姿もばっちり映っていた。

 

インタビューではユノがずっとジェジュンを膝にのせて抱きかかえているし、NGシーンでは爆笑しながらジェジュンの額にキスするユノがいた。

 

「…ユチョンさん、僕とユノヒョンって、こんなにずっとくっついてたっけ?」

「暑苦しいったらねーな。ま、売れるってことは良い事だ」

「そうだね…」

 

「いいか、ジェジュン。なんでも売れて当たり前だと思うなよ。これを制作した人間もいれば、営業して売ってくれた人間もいる。みんなが力を合わせてくれたおかげなんだ」

 

ジェジュンはユチョンの言葉を聞いて、初めて影で努力してくれた人たちの事を想った。

 

僕一人でやってるんじゃない…みんなのおかげなんだ…。

 

「だから、お前の事を支えてくれる人たちを裏切るな。そういう気がなくても、結果的に裏切るような事にならないよう気をつけろ」

 

「はい。心に刻みます」

 

ジェジュンは今のこの気持ちをずっと忘れないようにしようと思った。

 

 

 

ジェジュンのCDが発売された。

初シングルとあって、プロモーションは細部にわたって行われた。

 

分刻みのスケジュールで動き、ラジオ局行脚をはじめ、地方のテレビ局、雑誌、CDショップでの営業回り、どんな小さな仕事も受けて、ひたすらにプロモーションに努めた。

話題になったこともあり、売れ行きは良く、新人としては成果だと言えた。

 

 

初めてエゴサーチというものをした。

初シングルをとても喜んでくれているファンの声や、初めて聴いたけど良かったよという声がたくさんあって嬉しかったが、そうじゃないのもあった。

 

まるで評論家のように上から目線で「聞けない事もない」「まぁ上手い方だね」と書かれた何様なんだろうと思うものや、誰かと比較してイマイチとなじってみたり。

あと、あからさまに「キモイ」「死ね」と書かれていたのを見てびっくりした。

思わず運転中のユチョンに問いかけた。

 

「ホントにこういうの書かれるんだね…」

「書かれない芸能人はいない。ユノだって書かれてる。気にするな」

「気にしない人なんて…いるのかな…」

「いないだろうな、麻痺するだけだ」

 

移動者の車の中、ジェジュンはずっと自分についた酷いコメントや書き込みを見ていた。

 

「ジェジュン、あんまり見るな。心、やられるぞ」

「ユチョンさん、僕たちは言い返せないよね。って事は言われっぱなしなんだね」

「そうだ。言い返したら相手の思うつぼだ。だから見ないのが一番だ」

「なんだかおかしいね…」

 

今までずっと他人事だと思っていた。

芸能人なんだから、少しぐらい言われたって平気でしょ?ってどこかで思ってた。

でも平気なわけない…同じ人間なんだもん。

 

芸能界はもっとキラキラしてて、楽しいことだらけで、華やかで、幸せいっぱいの世界だと思っていた。

でも現実は大きく違う。

 

たくさんの人に頭下げまくって、気を遣いまくって、怒られまくって、へとへとになるまで仕事して。

自分のしたい事も言いたいことも言えずに、ただ表に出る時はそんな事絶対に見せてはいけなくて。

出来ないこともいっぱいあるけど、出来るようにならなくてはいけなくて。

プレッシャーだらけで、逃げ出したい事の連続だけど、笑顔を崩すことは許されなくて。

 

逃げることも、怒ることも、泣くことも出来ずに、笑顔で我慢して。

それでもようやっとやり遂げても、簡単に否定されて、誰も分かってくれなくて。

頑張っていたら知らない間に嫉妬されて、それをぶつけられて。

 

表面のキラキラした感じとは裏腹に、中に入るとドロドロとして腐って劣悪な臭いを放ってる。

 

でも、だからこそ、そんな中で見つける優しさには感動する。

本当に優しい人や、素敵な人に会うことも出来る。

 

自分を応援してくれるファンの人も、一瞬でアンチに変わってしまうかもしれない。

でも今の一瞬を応援してくれる人に、僕の歌を届けたい。

感謝したい。

 

 

ユチョンはジェジュンの姿を見ながら思っていた。

 

混沌とした芸能界の暗部に触れて、ジェジュンも芸能人らしくなってきた。

 

忘れるなよジェジュン、お前を応援してくれる人がどこかに必ずいる。

その人のために頑張ればいい。

それだけでいいんだ。

 

 

 

 

 

 

※※※

ゆっののバカぁ~(>_<)

可愛かったぞジェジュンァ♡

ミロ、あと5話ぐらいです^^