※当ブログに掲載されている小説の登場人物は、実際の人物、団体等と一切関係ございません。

 完全に作者の妄想小説であり、そういったものが苦手な方は読むことをお控えください

 

◆◆◆

 

ジェジュンを抱き上げて立ち尽くす俺。

 

俺…何やってんだ…?

 

「ユ…ノ…下ろして…怖いよ…」

「あっすっすまん…!」

 

慌ててジェジュンを立たせると、そのままジェジュンがふらりと身体を傾けた。

 

「あぶないっ」

 

とっさにジェジュンの身体を引き寄せると、また目の前にジェジュンの顔があった。

さっきより近い位置で。

 

「…!」

 

驚いたジェジュンは、身体が固まり、動けないでいた。

ジェジュンの濡れた赤い唇が目の前に迫り、俺はそれにくぎ付けになった。

 

柔らかそう……

そう思った時には、ジェジュンの唇に、自分の唇を押しあてていた。

 

「んっ…」

 

わずかながら抵抗を見せる細い腕を無視して、俺は抱き寄せた腕に力を込めた。

 

唇を離すと、真っ赤になったジェジュンの顔がそこにあり、今更ながら自分が何をやったか思い知った。

 

「あっご、ごめん…!」

 

身体を離そうとした俺を、今度はジェジュンが離さなかった。

 

「ユ…ノ…」

 

とろんとした目で、俺を見て視線を俺の唇に下げた。

 

もう一度、して…?

 

まるでそう言っているかのように。

 

ゆっくりと顔を近づけ、今度はお互いに唇を合わせた。

 

「ん…ふ…」

 

ジェジュンの吐息が漏れ、それが官能的で心臓がバクバクと高鳴り、次第に興 奮が高まる。

ジェジュンの唇と口の中は、熱を持ってトロリと熱く、まるで絡みつくようで、それがまた俺を勢いづかせる。

何度も角度を変えて、唇を重ね合わせ、ジェジュンの唇の隙間から舌を入れ、夢中で口内をかき.まわした。

リップ音と舌が絡まる水音が、さらに感情を掻き立てる。

 

息ができなかったのか、ジェジュンが唇を離した途端、はぁっ…っと酸素を取り込んだ。

そのあまりの可愛らしさに、もう一度キスをしたくなる。

 

立っていられなくなったジェジュンが、ユノにしがみついた。

 

「はあ…ユ、ノ…もう…」

 

がくりと膝を折ったジェジュンを抱きしめると、ジェジュンはそのまま意識を飛ばした。

ジェジュンを起こさない様ベッドに寝かせ、そっと布団をかけて、やっと我に返った。

 

俺…いったい…何を…。

 

口を手で押さえたまま、寝室を出る。

いましがた抱きしめていた細い体、柔らかい唇を思い出すと、居てもたってもいられなくなり、ユノはそのまま風呂場へ行き、冷たいシャワーを頭からかぶった。

あんなに冷たい水を浴びたのに、いつまでも自分の中に残る熱が、ユノを支配していた。

 

寝室へ行きジェジュンの様子を見ると、ジェジュンは安らかな顔をして眠っていた。

そのあどけない顔をみると、思わず頬が緩んだ。

 

いつのまにか自分が微笑んでいた事を知り、ユノは思った。

 

 

あぁ…俺、こいつの事、本気で好きなんだ…。

 

 

男同士なのにとか、友達なのにとか、ヒチョルさんの事とか、そんなもの軽々と超越した、この思い。

いつか誰かが言っていた言葉 「本気で好きになれば自分で分かる」 その言葉がすとんと腑に落ちた。

 

今まで誰にも、女の子にだって、こんな思い抱いた事はない。

だからこそわかる、この気持ちは本物なんだ…。

 

 

次の日、だいぶ下がったもののまだ熱の残るジェジュンを一人家に残し、俺は学校へ行った。

本当は、まだジェジュンの身体が気になったし、一人家に置いておくことが心配でならなかったけど、学校を休ませるにはいかないとジェジュンがしつこく言ったからだった。

 

昼休み、ジェジュンにメールを送ると、もう熱も下がったし大丈夫!と元気な絵文字とともに送られてきた。

ようやくほっとした俺は、その足で食堂へ向かった。

 

食堂で一番日のあたる、特等席に彼はいた。

数人の友達と楽しそうに、ふざけて笑っていた。

しかし、その雰囲気はどこか彼を王様として奉った雰囲気があり、俺は釈然としなかった。

 

「よおチョンユノ」

 

彼が笑顔で声をかけてきた。

そこにいた彼の取り巻きが、一斉に俺を見た。

その視線は、嫉妬や反発が入り混じったような複雑なもので、好意的な視線とは言い難かった。

 

「ヒチョルさん、昨日はありがとうございました」

「ジェジュンの様子はどうだ?」

 

「熱も下がったみたいです。昨日はありがとうございました」

「いいってことよー」

 

ヒチョルは立ち上がり、俺の肩を組み、ニヤニヤしながら耳元で囁いた。

 

「ジェジュンを着替えさせてやったか?」

「えっ・・はい」

「身体も拭いてやったか?」

 

そこまで言われてやっと気が付いた。

彼はジェジュンと付き合っているわけだから、他の男にジェジュンの裸を見られた事は嫌なんじゃないか。

しかも俺は昨日、ジェジュンと…・

 

「あっ汗をかいてたから、そのっ、し、仕方なくっ、ね、熱が上がっても、困るしっ・・・」

 

急に焦りだした俺を見て、ヒチョルが大声で笑い出した。

食堂全体に響き渡るような大声だった。

 

「だ――――っっはっはっは!!あ―――っはっはっ!!」

 

びっくりした俺と周りの人間を尻目に、ヒーヒー言いながら笑っているヒチョル。

 

「あーおもしれぇ!ドンへ、こいつおもしれーよ!」

 

ヒチョルが俺を指さしながら、隣にいたドンへの肩に手をかけながら、まだ笑っている。

ヒチョルに肩を組まれたドンへは、ちらりと冷たい目でヒチョルを見つめながら、人を指でさすな、と叱っている。

 

どうしていいかわからず、おろおろしていると、ドンへが近づいてきて言った。

 

「こいつの事は気にしなくていい。ジェジュンは熱下がったのか?」

「あっ…はい」

「そうか良かった。ちゃんと飯を食えと言っといてくれ」

 

まだ腹を抱えてゲラゲラ笑っているヒチョルの腕をひくと、ドンへは食堂を出て行った。

 

 

※※※

初めてのチュウ。甘酸っぱいネ。ヒチョリは鬼。