「あなたを、殺させてください」
 街中で、突然、いきなり、何の前フリも前触れも前置きもなくこんなことを言われたら、あなたはどうするだろうか。それも、かなりかわいい女の子に。笑顔で。
 ①シカトを決め込む
 ②精神科に連れて行ってあげる
 ③とりあえずナンパしてみる
 ④丁重にお断りする
 ⑤殺されてあげる
 だいたい一瞬で浮かぶのは、以上のような選択肢だろうか。
 昇神彗という少年はシカトを決め込むほど冷たくもなければ、わざわざ精神科に連れて行ってあげるほど優しくもなかった。ナンパは得意でもないし好きでもない。いや、得意じゃないから好きでもないのだろうか。
 とにかく、残る選択肢は二つである。
 無論、⑤は論外中の論外。見ず知らずの女の子に素直に殺されるいわれは塵一つとしてない。というわけで、彼が選択したのは④だった。
「お断りします」
 さほど丁重でもなかったが。
「じゃあ、こうしましょう!」
 いかにも今思いついたように円花は提案する。
「私は、彗さんの寿命が尽きるのを待ちます。五十年後か百年後か、彗さんが寿命で死にそうになったら、私に魂をください」
「それなら……って早いよ! なに豪快に230ページも読み飛ばしてんだ!」



スタンプ・デッド 完