襟木真は、窓から外を眺めていた。
 大抵自席にてパソコンをいじったりしている彼としてはそれなりに珍しい光景だが、それは特筆するほどのことでもない。
 本当に珍しいのは、その表情だった。
 無表情。
 それだけを見れば、これもまた珍しいことではない。ただデフォルトなだけである。
 しかし襟木真の無表情、なかなか奥が深く同じように見えて実は違う。
 だからそれなりに親しい井上秋乃ならば、それが彼の『思案顔』であるということがわかるのである。
「珍しいね、考え事?」
「ん……まぁね」
 秋乃に視線を向けることなく、返事を返す。
「何考えてたの?」
「……………………」
 真の視線が空に向く。
 少しの沈黙。
「あぁ、別に言いたくないことなら……」
「ショッカーの声って」
「……うん?」
「あれ、全部同じ人がやってるのかな。あとで音だけあてて。それとも、誰がやってもあんな感じの声が出せるのかな」
「……と、いうことを考えてたの?」
「うん」
「……………………」
「……………………」
 秋乃も、真にならって空を見上げる。
 快晴、気持ちよく青い空だった。
「とりあえずさ、襟木君」
「うん?」
 お互い、空を見上げたまま。
 心地よい風が吹いていた。
 ぽつりぽつりと浮かんだ雲が、ゆっくりと流れていく。
「私たち、それ世代違うんじゃない?」
 そんな神無砂希学園1年6組。
 今日も平和だった。