前回同様予約時間から20分程すぎた頃、誘導端末から音楽が流れ診察室へと呼ばれた。
まず胃カメラの映像とCT画像を見ながら医師から検査の結果を説明された。
「リンパ節、他臓器への癌転移、浸潤は今のところみられません」
このことを聞けた段階で精神的にのしかかっていた重しがだいぶ軽くなった気がした。
食道癌は転移、浸潤が速く、周囲に重要な臓器が多いため、転移浸潤があるとかなり予後が悪くなることは調べて知っていた。
続いて、癌がここまで大きくなっているとやはり外科手術が必要なこと、その際食道はほぼ全摘をし、周囲のリンパ節の郭清、胃も噴門を含めた一部を切除して、残った胃を上に持ち上げ残った食道と繋ぐ術式の説明を受けた。
あと手術前に、癌の進行を抑制、縮小を目的に抗がん剤治療をすること、5FU、シスプラチン、ドセタキセルの3薬を10日ほどの入院で3回行う説明をされた。
この辺りの手術と抗がん剤については、事前に病院のウェブサイトを読み込んでいたので、ああやっぱりやるのかと冷静に説明を聞くことができた。
そして行う予定の手術が大手術なことと相応のリスクがあることを改めて説明され、この治療方針で進めるかどうかの意思確認をされた。
事前に色々調べていたことも含め、代替医療を探す時間的余裕も金銭的余裕もないし、転移もない状況ならできるだけ早く治療を始めた方が良いと思ったのでその場で決断しお願いをすることにした。
ここで癌のステージについて一切説明がなかったので、こちらから現在のステージを聞いてみた。
医師は改めて画像を見返しながら、
「そうですね……癌が大きいのでステージ3ですね」
と少し考えて答えた。
……え?
転移浸潤がなくてもステージ3があるのかと、事前に調べていた知識と食い違っていたことと、ステージ3という宣告に少し動揺した。
そして今後の治療について、抗がん剤治療はこの科ではなく消化管内科に移って行う事を説明された。
早速担当医師が変わるのか……大きな病院はそうなのかな?
次回の消化管内科の診察の予約を取り、食道外科での診察は終了した。
次ここに戻ってくるのは抗がん剤治療が終わった時か……。
次回、消化管内科診察と入院準備