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安全だったはずの演習中、突如現れた師団級魔獣ベヘモスの襲撃を何とかしのいだ、エルネスティをはじめとしたライヒアラ機操士学園の生徒たち。しかし、戦い終わってもエルネスティの日常は平穏ではありえない。国王から無茶振りを受けたことにより、彼は幼ななじみから学生たち、さらには学園そのものまで巻き込んだ大暴走を始める。その果てに彼は世界の常識すら踏み越えて、ついに新たなる幻晶騎士を生み出すにいたる。強大な力を秘めた新型機。その力をめぐって、様々な人間が動き出す――。
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自分の幻晶騎士を自らの手で作り出す。それを目標にして知識をつけ、体力をつけと突き進んできたエルネスティ。が、しかし、ここで一つの大きな問題点に直面する。それは魔力転換炉の製造方法がわからないこと。
国王陛下に呼び出され、祖父と共に城を訪れるエルネスティ。呼び出された理由、それはベヘモス討伐の褒賞について話をするため。
国王からの呼び出しに応え、城へ招かれるエルネスティ。ベヘモス討伐の褒賞として望む物を一つだけくれてやる、と言われ、エルは魔力転換炉の製法を望む。国家機密であるそれを、一介の子供にそう易々と教える訳にはいかない、と言う国王。その後、国王が提示した条件は、それに見合った成果をあげることだった。再び前に進むため、ここからエルネスティの新たな幻晶騎士作りがスタートするのだった。
新型機の製作・完成とそれを巡る他国を含めた騒動が描かれた今回。主人公だけ、ではなく各キャラクターそれぞれが活躍している点が素晴らしかった。
エルの暴走っぷりは見てて楽しいなぁ(笑) 突拍子もない発言に思えるのに、それが実用に耐え得るものであるというのがまたすごい。これぞまさしく柔軟で天才的な発想力と言えよう。
異世界から転生やって来た、それもとびきりのメカオタクであるエルネスティ。そんな彼だからこそ、この世界の枠に囚われることなく、他の者では思いつくことはない前世の知識を活かした設計を提案することが出来たのだと思う。
後に『テレスターレ』と命名されるその新型機は、今までの型と比べるとパワーも大幅に強化され、何より背面武装の魔導兵装で攻撃が行なえる点がその戦闘力を押し上げている。
幾度もの失敗や修正、動作試験を経てようやく完成した新型機。その性能は誰もが目を見張るほどのもの。ならばその力を、テレスターレを欲しくない訳がない。ここに来て初めて、他国の影がちらつき始める。
銅牙騎士団、とは名ばかりの暗殺部隊がカザドシュ砦に忍び寄る。テレスターレをも奪った彼らは他の幻晶騎士を破壊、朱兎騎士団からの攻撃を受けつつ、逃走を図ろうとする。
国によって扱う幻晶騎士も違うんだなー、と。隠密行動に特化した型とか何それちょっとかっこいい。でも隠れるにはちょっと大きすぎやしませんかね。
ケルヒルト率いる銅牙騎士団達とぶつかったのはカザドシュ砦に向かっていたエドガー達ライヒアラ組。そして再び戦闘へ。
あくまでエルのおもちゃ、もとい練習用だと思われた幻晶甲冑がまさか実践で役立つとは。幻晶騎士相手に立ち回ったキッド、アディの二人は本当にすごいと思う。エドガーの思いを汲み、テレスターレ捕獲に走るディートリヒの格好良さよ。一巻のダメっぷりが嘘のように人が変わったよなぁ。
駆けつけたエルネスティの加勢も虚しく、ケルヒルトが乗ったテレスターレ一機を取り逃がしてしまう。これが後々どこかで響いてくるのかしら。
エルの考える次の機体は一体どんなものなのか、妄想が膨らむ。国王の命により騎士団を結成したエル達の行く末とは果たして。