「世界征服 2 00-02」感想 | self-complacency

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ライトノベルの感想を書いてました。

世界征服 2 00-02
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真理はここに。神の野心を打ち砕く礎にして、一条の希望なり
アメリカ・スタンフォード大学で研究員として働く桜井海斗は、学生相手に社会心理学の教鞭を執り、充実した日々を送っていた。
だがその安寧は、世界最大の資本家・ブランフォート家による独裁支配計画書「世界統一政府プラン」を知ったことにより、暗転してしまう。口封じとして父を暗殺され、怒りと悲しみに暮れていた海斗は、遺伝子操作によって創り出された天才少女・リザと出会い、共にブランフォート家を打ち倒すため日本で活動を開始する……。
圧倒的なスケールとリアリティで描かれた「覇道」の世界征服、ここに開幕!

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アメリカ、スタンフォード大学にて社会心理学の教鞭を執る大学院生、桜井海斗。彼は連絡を寄越してきた父、啓司と久しぶりに再会し、他愛のない会話を交わす。海斗は普段と異なる父の様子に違和感を感じつつも、その日は何事もなく別れた。
翌日。海斗の元へ父が亡くなったとの報せが入る。そんなことを聞かされてもまるで信じられない。勿論そうすんなりと状況が飲み込めるはずもなく。
そして警察からの帰り道、海斗は突然現れた男達によって拉致されてしまう。

序盤から監禁、拷問、軟禁、と続くあたりさすが至道先生だなぁと……(笑)
表紙からしてヒロインは普通に大人(少なくとも高校生以上)だと思ってたから、リザが小学生だと知って驚いた。まあ並ぶものがいないほどの天才であるから普通ではないんだけど。普段は大人ぶっているものの、ちゃんと子供らしい面も持ち合わせていてリザの可愛らしい部分だと思う。

父から渡されたペンダントに隠されていたデータ。ブランフォートの企む「世界統一政府プラン」は否定しようもないほどリアリティがあった。事実、過去の事件はちゃんと起こっているもので、未来の計画について考えても辻褄がしっかりと合う。友人マイクは半信半疑であったものの、海斗はこの計画が間違いなく本物であると確信する。父の無念を晴らす。そのために、海斗はこの情報をマスコミに持ち込むことを決意する。
実際の出来事を織り込んで、というかほぼほぼ歴史をベースにした物語であるから、現実味が半端じゃない。こういう真実を知ったものは組織に消される、的な壮大な陰謀論すごくいい。ワクワクしちゃう。

マイク、青葉と仲間を増やしながらブランフォートに立ち向かえるだけの資金を集め始める。
リザスターネットワークス株式会社を設立。休眠会社を買い取り、ホームレス達をそれそれの会社の社長に据える。決算にも偽りがないように工作、もとい調整もしつつ。
リザの持っていた5000万、それから相羽から借りた30億。そこから投資をして稼ぎ、
様々な手段を講じて会社に注目と人気を集め――株式公開。リザスターネットワークスの株価は見る間に上がっていき、最終的に株価総額は2000億にまで到達する。毎度ながら天晴れの資金繰りですな。

どんなに優れた人物による独裁であろうと、それが独裁である限り正義にはなりえない。
平和な世界を築こうとしても結局自らの思いを微塵も挟まない、なんてことは無理なわけで。ブランフォートは自らが頂点に立ちその場所で安住することを求めた。1000万人を救う為に100万人の犠牲はつきものだと、アフリカに細菌兵器を撒こうとするようなやつを正しいなんて僕は思えない。
等しく平等に幸せに、なんてのは確かに理想論かもしれないけれど、それでも僕はリザ達の方がもっと良い世界を作っていけるんじゃないかと思うの。復讐心で動いている海斗だって、普段はすごい出来た人間だし。

それにしても、こちらの話は時系列的に一巻と重なってたりするんだろうか? 個人的にはそこがすごい気になってたり。三巻読めば分かるのかなー。
この世の真理を垣間見ているかのような気分。自分も世界を動かせる資金力を手に入れたかの如く感じられるのがまた楽しい。……ただ、現実を振り返ると悲しいだけだから注意。

一巻とはまた別の登場人物達が世界征服、もとい世界の破壊を目指す。それぞれが異なる目的を持っているのに協力し合うというのがなんとも不思議。
着実に戦いへの準備を進めていく海斗達。ブランフォートとの決戦はどのような結末を見せるのか、続きが気になる……!
霜月えいとさんの挿絵も大変素晴らしかったです。