「ゴールデンタイム番外 百年後の夏もあたしたちは笑ってる」感想 | self-complacency

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ライトノベルの感想を書いてました。

ゴールデンタイム番外 百年後の夏もあたしたちは笑ってる (電撃文庫)/アスキー・メディアワークス
¥557
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笑いあり恋心あり、竹宮節全開の中編3本で贈る青春ラブコメ番外編!

万里の親友、柳澤光央。イケメンで爽やかで人間的にもとってもいい奴。しかしその住処は……激しい汚部屋だった。その混沌の中に置かれていた痔の薬の謎とは!? ──「光央の部屋」
海水浴行きを控え、香子と千波が水着の試着会!? そのきっかけとなった、万里の友人、通称・師匠を女子と勘違いした香子の狂騒と秘められた想いを描く「百年後の夏もあたしたちは笑ってる」
デビュー曲は『兄を燃やす』……そんな素敵なNANA先輩とともに万里が体験する真夏の夜の出来事──「サマーナイトツアー」
いずれも楽しく笑えて、さらに『ゴールデンタイム』のキャラクターたちをより深く知ることのできる、シリーズファン必読の一冊です!

 
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今回は短編三つ。確かに本編の続きが読みたいって気持ちはあるけどさ、番外編もいいじゃない。僕は充分すぎるほど楽しめましたよ。
 
番外編でも竹宮ゆゆこ節は勿論健在。汚部屋を通り越して魔窟と称されるまでになってしまった柳澤の自宅にて、耳かきや爪切りなど、ささいな物がなくなった。物の配置も心なしか変わって…? そしてストーカー騒動にまで発展していく「光央の部屋」
万里のイケメンな友人、やなっさんこと柳澤がメイン。魔窟と化したアパートの一室を見て驚愕する万里、と後に香子。いやいや、どんだけ片付けられないんだよ、と(笑)
開けたペットボトルもそうだし、どうしてゴミを捨てないのか。本人曰く何が何処にあるのかは分かるから問題ない、らしいが、Gまで出てるんだからさすがに掃除しようぜ、と読みながらつい思ってしまった。
売ろうとしたCD群を改めて見、「あれ、これちゃんと聞いてなかった」「これ売るのは勿体無いかも…?」とか思っちゃうのはあるあるだよなぁ。間違いなく片付けが進まない典型的なパターンの一つ。
ストーカー時代の香子が流した「柳澤痔持ち」の噂が、数年の時を経ても忘れられずにいるとは…… 可哀想すぎる、やなっさんマジ不憫。
特に大事にもならなかったから結果オーライでしょう。
 
夏の思い出作りのため、みんなで海へ旅行に行く計画をした。その旅行日の少し前の出来事を描いた「百年後の夏もあたしたちは笑ってる」
香子は今度の旅行で万里を悩殺したい、そのための水着選びを手伝って欲しい、と千波宅を訪れる。片やTバックのエロレゲエ、片や土管という残念チョイスっぷり。万里に対して抱く想いを愚痴も含め、千波に話す香子。岡ちゃん……あなた意外とえぐいこと言うのね。ピュアっ娘のイメージが既に崩れてるよぉ……
アイスの代わりにビールを出してきてしまったのがいけなかった。夏の暑さのせいでビールはぐびぐびと飲めてしまい、酔いはどんどん回っていく。その先に待つ展開は口にしなくても分かりそうなものだけど。
半裸で笑いながら暴れまわる女子二人の図、でした(大体合ってる)
香子と千波が酔った勢いで完全に壊れている様が見ていて楽しかったです。
その場のテンションで動画なんか撮影しちゃって、後で見たら絶対死にたくなると思うな…(笑)
でもまあ、なんだかんだで二人共楽しそうだったしね。たまにはこういうバカ騒ぎも悪くない。あと、香子と千波はすっかり仲良しなんだなぁ、と謎の感動も覚えたり。
 
月曜一限、鬼の語学講義にて、彼を助けたことをきっかけに万里は師匠――羽野紫生(男)と出会い、仲を深めていく。師匠に出会ったことのない万里の友人たちの雑な妄想、それらと同じく香子もがっちりとした男の図を思い描いていた。
しかし、後日師匠に会ったという千波の「美人」発言のせいで、香子は師匠の想像図を改めることに。と、同時に万里に対する不安、不信感も募っていく。
ところがそのとき、香子は自分が決定的な勘違いをしていることに気付いていなかった。そう、師匠の性別は女ではなく――男。
 紫生さんの性別が女性だとばかり思っていて、読みながら「彼女?」といまいち腑に落ちない感じになってた。いや、だってあの挿絵はどうみても男に見えないじゃんか! だから男版香子って表現も比喩かと。
香子が師匠の性別を勘違いしてごたごたが起こるってのが今回のポイントなのに、読者の僕がそこでこんがらがってどうすんだよって話ですよねわかります…(汗)
 
NANA先輩たちのバンド、そのステージで、万里は箱に入れられ、剣で貫かれる寸前だった。何故そんな状況になってしまったかというと、時間は少し遡る……
万里がNANA先輩とその仲間たちに振り回される「サマーナイトツアー」
「兄を燃やす」ってそんなの曲名にしていいのかよ、こえぇよ……
明日に控えたライブにて発表する新曲、その作詩に行き詰まり、気分転換のためにチラシで見つけた怪しげな特売セールへ行くというNANA先輩。一人で行かせるのは心配だと考えた万里はそれについていく。
辿り着いた先の店にて出会ったNANA先輩のバンドメンバー、トモヤス、タクロー。失礼だけどどっちもすごく……変人です。
今まであまりスポットが当てられることのなかったNANA先輩。その素性が少しだけ垣間見えて、なんだか新鮮な感じだった。NANA先輩にとってバンドは大事な居場所で、色々な想いを抱えてるんだなぁ、と。
今はこんなだけど昔は普通の大人しい女の子だった、とか全然想像出来ない。
 
今回もイラストが素晴らしかった。表紙の香子の破壊力ハンパない…! 「柳澤ってこんな顔だったっけ…?」という違和感がしたのは多分僕が忘れてるだけ。
駒都えーじさんのイラスト、次回も楽しみにしております。