2007年フランソワ・オゾン監督

20世紀初頭のイギリスを舞台に、虚構の人生を生きた女流作家の波乱万丈な生き様を描いた作品ブタ
主演のロモーラ・ガライが無知で傲慢な女性を大迫力・魅力的に演じていて、見応えタップリ☆
シャーロット・ランプリングもさすがの存在感を発揮してます。
オゾン監督のインタビューによると、初のイギリスを舞台にした作品という事で、お守りとしての出演だっとの事ですぽっ

エンジェル [DVD]

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以下ネタバレです↓↓↓





学生時代のエンジェルは、細々と食料品店を営む母と暮らす、空想家で上昇志向が強い性悪な女の子です。
出版社に原稿を送ったところ気に入られ、デビューが決まり、その後はとんとん拍子で一躍人気作家になります。

発行人との初めてのインタビューで、「シャンパンのコルクを栓抜きで開けるのはおかしい」と指摘された際、「一字一句直さない」と言い放つシーンで、敬愛する村上春樹氏の「フォルクスワーゲン事件」を思い出した。
氏はエッセイか何かで「フィクションなんだから、自分の描く世界ではフォルクスワーゲンにラジエーターがあったっていいじゃない」というような事を冗談めかしておっしゃって、でもその後発行されたものでは修正されたみたい。
エンジェルとは全然性質が違うのですが、思い出したので。それだけもんすたー


エンジェルを崇拝するノラと、ノラの弟で画家のエスメに出会います。エンジェルはエスメに一目惚れします。
作家としてのキャリアも順調で、ノラを秘書として雇い、エスメと結婚し、子供の時からの憧れの "パラダイス屋敷" を買い取り、エンジェルは夢みていた人生を次々に自分のものにしていきます。

エンジェルの作品が劇になり、その劇の観劇のシーンで、エンジェルは緑色のドレスを着ています。
当時緑色のドレスでの観劇は不吉だという事でタブーだったそうで、ここでもエンジェルの無知描写がされているようだけど、私はそんな事知らなかったのでスルーしてしまった。

この作品では「1940年~50年の古いハリウッド映画のオマージュが含まれている by オゾン監督」との事で、エスメにプロポーズした時のわざとらしいキスシーンやその後の合成映像の新婚旅行はまさにその表現のようだけど、エンジェルの幸せがいかにうわべだけのものかの皮肉も込められているようで、このあたりはオゾン監督らしいな~にひひ
ノラはいつエンジェルに反旗を翻すのかな☆


幸せな日々も束の間、第一次世界大戦が勃発し、エスメは志願兵として出兵します。
その後負傷により退役し、間もなく自殺してしまいます。
死後、エスメに愛人と隠し子がいた事が分かり、エンジェルは愛人に会いに行くと、その愛人というのがかつて "パラダイス屋敷" に住んでいたアンジェリカだと分かり、エンジェルは愕然とします。

幸せに翳りが見え始めてからエンジェルのファッションがだんだん黒っぽくなっていき、エスメの死後は魔女化して行きます。
アンジェリカと並ぶとエンジェルの異様さが際立ち、うわぁそりゃ子供も逃げるのも納得ですよ恥っという表現をされてます。。。


エンジェルは虚構の人生と現実世界のギャップに苦しむようになり、孤独の中で生涯を閉じます。
エンジェルの作品も時代遅れのものとなり、見向きもされなくなりました、という事で終わり。

ノラは最後まで献身的だったな★
虚構の世界で作り上げたものは最終的には何も残らないという事なのですねうわ
でも虚構であれ幻であれ、腕一本でのし上がったエンジェルのパワーはすごい!
また観よう。