ななしのこや | やまなし光学研究所

ななしのこや

 泥棒は刑務所から脱走した。


 町に爆弾が落ち、刑務所の壁が壊れてしまったのだ。


 だから、泥棒は町へ逃げ出した。


 だけど、すぐに指名手配されたから、泥棒は山にかくれた。


 山には一軒の小屋があった。泥棒は、その小屋を盗んで自分のものにしようと思った。


 でも、それは、ななしのものだった。


「なんだ、おまえ、ここに住んでんのか?」と泥棒はいった。


 ななしは何も答えなかった。


「でも、俺は泥棒だ。今日からこの小屋は俺のものだ。わかったな? さからったら、ひどいめにあわすんだからな」


 それで、泥棒とななしは一緒に暮らすことになった。いくら泥棒がでていけといっても、ななしはでていこうとしなかった。


 だから、仕方なく、泥棒はななしと一緒に住むことにした。


 泥棒は気が向くと、町にでて、宝石や金を盗みにいった。


 盗んだものは、ななしの小屋に隠しておくことにした。


 だけど、ある日、泥棒は失敗してしまった。罠にかかってケガをしてしまったのだ。


 泥棒はすぐに逃げたのだけど、足から流れ出る血のあとをたどられて、たくさんの警察がななしの小屋にやってきた。


 泥棒は屋根裏にこっそりと隠れた。


 それで警察はななしを泥棒だと思って逮捕した。


「やい、おまえ」と警察はいった。「お前、名前はなんていうんだ?」


 だめだめ、と泥棒は思った。ななしには名前なんてないんだから。




 でもななしは答えた。


「俺の名前は、ロロだよ」


 それは、泥棒の名前だった。




 そして、泥棒は連れて行かれ、小屋に、またななしが残った。