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人生には平等に必ず三度のチャンスが与えられている。
しかし、それに気づく者と気づかぬ者がいるのです。

農薬で毒殺されるケニアの動物たち National Geographicからです。

農薬が毒殺に使われる猛毒だと認識が広まる事が大切ですね。

農薬などの有毒物質を体内に入れないようにする事は身体を守る事につながりますね。農薬が製造されされなくなると、農薬会社は倒産するかも知れませんが、様々な生物の命を守れそうですね。

農作物は無農薬無肥料栽培もできるのですからね。

<転載開始>
農薬で毒殺されるケニアの動物たち

Nick Wadhams in Nairobi, Kenya
for National Geographic News
April 14, 2010

 野生生物保護団体の報告によると、ケニア南部で5頭のライオンと1頭のハイエナが毒入りのエサを与えられて死んだという。国立公園近くの地域コミュニティの放牧地内で、紫色のシミがついた血だらけのバケツが発見された。死んだライオンとハイエナは、環境汚染のために使用を制限されている農薬によって命を落とした可能性が高い。


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 ライオンとハイエナの死に関与したと考えられているのは、この地で家畜の放牧で生計を立てているマサイ族の男性数人である。ケニアのナイロビに拠点を置く自然保護グループ、ワイルドライフ・ダイレクトの代表を務めるポーラ・カフンブ氏によると、少なくとも1名が逮捕されたという。

 ケニア南部では数カ月間にわたって日照りが続き、野生動物とマサイ族の間で緊張が高まっている。干ばつによって食料や水の入手が困難になるにつれ、家畜は周辺に生息する捕食動物にとっても貴重な存在になっていた。

 事件は4月2日、アンボセリ国立公園近くのオルグルルイ集団放牧地(Olgulului Group Ranch)で発生した。

 ケニア野生生物公社(KWS)から一報を受け取ったカフンブ氏だが、事件の数日前に放牧地の住民から注意したほうがよいと聞いていた。同じ場所で家畜の牛2頭がライオンに殺されたというのだ。「毒入りのエサは、あの気味の悪い色のシミがついたバケツに入っていたのだろう」と同氏は予想する。ただし痕跡が一切残っていなかったため、エサの種類は不明だという。

 現在は検証を待っているところだが、使用されたのは「フラダン」という農薬だと同氏は考えている。フラダンは、農薬「カルボフラン」の商品名で、アメリカのフィラデルフィアに拠点を置くFMC社が販売している。強毒性で無臭の殺虫剤で、紫色の顆粒の形で流通している。

「適切に使用すればフラダンは安全である」と主張するFMC社は、2008年、ケニアやウガンダ、タンザニアでの同製品の販売を中止した。ライオンなどの家畜を襲う野生動物の駆除に、牧畜民がフラダンを使用しているという報告が相次いだからだ。

 同社は即座にケニアで買い戻し制度を開始した。だが2年経ったいまでも、一部では相変わらずフラダンの販売が続いているという。「大型店からは引き揚げたが、郊外店舗の在庫は放置されているのだと思う。いずれにせよ、一部の販売業者が少量ずつ販売していることはわかっている」とカフンブ氏は話している。

 自然保護論者らはケニア政府に対し、フラダンの使用を法的に制限できないのであれば、使用禁止に踏み切るべきだと要求している。鳥やネズミ、犬や大きな野生動物を殺すために、多くの農家がいまだにフラダンを使っているのが現状なのだ。

 国際湿地保全連合のケニア支部で水鳥について研究しているオリバー・ナシルワ(Oliver Nasirwa)氏は、「問題は、フラダンを安全に扱う方法を国民に周知できるかどうかだ」と述べている。

 この問題は先進国にも他人事ではない。2006年、アメリカ環境保護庁(EPA)は、フラダンが環境、特に鳥類にリスクをもたらすとの裁定を下し、その使用を禁止した。カルボフランもヨーロッパ各地で使用禁止となっている。

 オルグルルイ集団放牧地は、地元のマサイ族に対して実施されている実験的な補償制度の対象となっている。ライオンなどの野生動物に殺された場合、家畜1頭あたりおよそ1万9000円が支払われる。

 しかし激しい干ばつが事態を一変させた。今まで補償金を受け取ってきたマサイ族が、度重なる家畜の損耗に耐えられなくなってきたからだ。

「つまり、今回の事件によって制度が機能していないという事実が浮き彫りになった」とワイルドライフ・ダイレクトのカフンブ氏は言う。「マサイ族は怒り心頭のようだ。彼らが本当に必要としているのは家畜の安全で、補償はあくまでカネに過ぎない」。

「不満を募らせる牧畜民から野生動物を守る補償制度は、まだコミュニティの支持を得ているし、数少ない実行可能なオプションの1つだ」と同氏は話している。

 しかし今回の毒殺事件は、「たった1人でも制度を台無しにできる」という事実を明らかにしたと言えるだろう。

Photograph by Jodi Cobb, National Geographic
<転載終了>