民主党大勝を語る(1) 副島隆彦さんの学問道場からです。 | Viva La VidaハモンカルマンズHamon'n'Karman'z

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人生には平等に必ず三度のチャンスが与えられている。
しかし、それに気づく者と気づかぬ者がいるのです。

民主党大勝を語る(1) 副島隆彦さんの学問道場からです。

副島隆彦を囲む会、学問道場での座談会の内容だそうです。全ては転載していませんので、全文を読みたい方は、学問道場の無料のぼやきのほうをご覧ください。

この国でどんなことが起こっているのか、疑った真実に辿り着いて下さい。

<転載開始>
副島 そういう話はずっと私が書いてきた。そういう思想的な話も良いけれども、今は、もっと実際的にどうなっていたかという話を私がしなければならないね。

 大きくは8月に入ってから波が変わったんだよ。7月12日の都議選で負けて、民主党の政権ができるという流れに変わった。

 しかし、自民党内の勢力各派は全然自覚がなかった。司令官クラスだから。末端の動きが見えなかったのかもしれない。例えば、小池百合子さんが、昔の自分の選挙区の神戸で一生懸命自民党の候補の応援演説をやっていたら、支持者の人から、「あなた、自分の選挙区に帰らなくていいの」と言われた。その時に、小池以下、自民党の幹部どもは、はっと気づいたというんだ。でも、もう遅かったんですよ。

 これが、8月の頭だったんだけども、一つ大きな波が後から襲いかかった。国民新党だって体質は一緒だから、渡辺喜美だってねらっていたし、自分のほうに自民党から20人ぐらいは崩れてくると思っていたんですよ。

 8月までは、国民新党系と鳩山邦夫系は、自分たちが波頭だと思っていたわけですよ。何しろ、弟の鳩山邦夫が信念を貫いて総務大臣をやめて、郵政民営化反対の旗柱を立てたとき、自分たちが最大の波だと思ったんです。

 ところが、その波から、民主党に勝たせろという大きな国民の波が起こったんですよ。亀井静香が言ったとおり、大きな波が押し寄せてきて、自分たちがのみ込まれていったんですよ。

 中田 鳩山邦夫は、選挙後に自分で新党をつくるみたいなことを言っていましたからね。

 副島 じゃなくて、核になれると思っていたわけですよ。
 
中田 政界再編の。
 
副島 もっと言えば、民主党とは違う反自民党の勢力ですよ。やがてできる大きな勢力の核に自分たちがなれるんだと思っていた。

 しかし、そこはもう小沢にばれていたんですよ。小沢はそれを許さなかったということですよ。

 それがどこであらわれたかというと、私はじっと見ていたら、8月17日に選挙の公示です。選挙はそこから2週間ですから、公示日直前というか、まさにその日に、比例単独59人というリストを小沢がぱんと出した。

 その中は、ほとんど小沢直系の、小沢親衛隊のような、「小沢政治塾」の人たちだったんです。私は、この顔ぶれを見たときにぞっとした。川島智太郎(かわしまともたろう)、それから中川昭一にぶつけた元書生の石川知裕(いしかわともひろ)。それから、樋高剛(ひだかつよし)というのがいるんです。

 樋高は、神奈川18区だけど、彼らは狂信的な小沢一郎主義者です。彼らは、秘書グループとか、そんな甘いもんじゃない。私は、単独比例の名前にぽんとついていた連中が受かっていったあたりが、今回の選挙で一番大事なところだと実は思っている。

 その前は、例えば民主党の農林族というのがいまして、新潟の筒井信隆(つついのぶたか)というのと、篠原孝(しのはらたかし)というのがいるんです。

 農協や全中(全国農業協同組合中央会)が、FTA(フリートレード・アクト、自由貿易協定)に反対した。これで自民党をつぶせると思うぐらいの大集会を8月1日にやったんです。

 ところが、古村くんが言ったとおり、これは農業なんかやっていない。ビル持ち、土地持ち、アパート経営者で、金融資産家みたいなやつらで、農業を実際やっていない人も結構いた。

 こいつらがFTA反対で、これで民主党をつぶせると思って、民主党農林族をたたきのめそうとしたわけです。

 北海道の松木謙公(まつきけんこう)が、北海道グループで、JA、全中に妥協していこうとした。そのときに、菅とかは反対した。民主党は政策調査会というのがありまして、そこが頑強に抵抗した。

 そこに小沢一郎の直系がいまして、彼らが小沢に直言、直訴した。ところが、小沢が一発、「農協なんか相手にするな」という重要な言葉が生まれた。あんなやつらは自分の利権のことだけしか考えていないと。

 今度の選挙は、民主党がマニフェストの中で「五つの約束」をはっきり打ち出して、最後ではっきりしたわけ。

 子ども手当を年間31万円やる、つまり、2人目の子供をつくりなさい。また、最低保障年金が7万円、老人にはだれでも月7万円上げると言った。2番目が、農業をやっている人で農業所得が年間50万円ある人はだれでも45万円上げる。農協を通さない。戸別所得補償制度ですね。


今回の選挙の勝利は小沢の全国行脚
なしにはありえない(開票センターで
涙をぬぐう小沢一郎)

 3番目が高速道路を無料化する。4番目が手当つきの職業訓練。職のない人たちにお金を出しながら職業訓練を与える。それこそばらまきなんだけど、5兆何千億円かかるんでしょう。

 中田 7兆ぐらいかな。

 副島 最低限度。これをどこから持ってくるか問題になるんだけども、この議論なんだ。農家のばあさんたちが、「テレビを見ていたら、小沢さんが45万円くれるんだってさ」とはっきり言ったからね。

 それで、東北、北海道、九州まで、農政族がたくさんいるところほどわーっと崩れて、農協にすがりつくように、今度は小沢一郎にすがりついた。日本国民、それこそあした食えない人たちが本当にいるんですよ。彼らが小沢一郎に「助けてくれ」と直訴し始めた。その波が8月17日から起きたんです。これは乗り込んでいったわけ。

 ところが、亀井静香たちはたかをくくっていたわけ。最後は、渡辺喜美も小沢と政策協定をやって、下につくかつかないかという議論になったわけです。

 渡辺が子分にならないと突っぱねたんだけど、その段階ですぱっと切った。そこではっきりと選挙後の流れというか、民主党政権ができるときの骨格が決まった。

 ところが、今度は、「政権移行チーム」というのをつくって、岡田と鳩山で新しい政権、閣僚をつくろうとしたら、小沢が待ったをかけた。

 小沢が偉かったのは、「新政権は、国民新党と社民党との連立政権である」と言ったことです。ちゃんと、連立政権の手続を踏めというわけです。党三役が決まる前に、連立政権であるところの最高決議機関に従えと小沢が言ったことは偉かった。それが、次の政治体制の骨格を決めていく。

 あと、電波・通信系の民主党の族議員じゃないんだけど、NTT労組出身の内藤正光(ないとうまさみる)というのがいる。それから、通産官僚出身の松井孝治(まついこうじ)というのがいる。松井は、京都の政治家です。ということは、京セラの稲盛和夫の子分なんです。NTTじゃないわけ。KDDI系、au系です。

 だから、彼らを入れるというのが一つ。医療・保健系は、年金は長妻昭がやるんだろうけども、医療政策系は、足立信也(あだちしんや)と鈴木寛(すずきかん)というのがいるんです。彼らは参議院だけど、仙石由人もそう。

 厚生労働省をたたきのめす政策は、何と舛添要一、現厚生労働大臣と政策的には共通しているんです。要するに、官僚にだまされないということです。だから、従来の族議員がどのように姿を変えていくか、私はじっと見ている。

 結局、小沢直系が80人いたのが、40人ふえて120人になったんです。もしかしたら140人になったかもしれない。それが今回の事態。やったことは田中角栄の戦略と全く同じなんだけどね。

 中田 悪い言い方をすれば、選挙に勝つということだけを考えて政策を打ってきていますよね。

 副島 そういうことです。

 古村 ちょうど田中派が一番膨張したときが140ぐらい。だから、党の半分。小沢チルドレンなんて言われている人もちょうどそのくらいです。

 副島 しかし、それは衆議院議員だけでしょう。参議院まで入れたらもっと多いんだぞ。

 中田 参議院50人ぐらいですかね。

 古村 そうしたら200人ぐらいになっちゃいますね。もうこれは党の半分を握る。

 4分の1国会議員を握るというのが田中の戦略だから。田中角栄の参考書をずっと勉強しているみたいなイメージですね。

中田 まあ、話は飛んでしまいましたが、一番目の話題の話はこれくらいにしておきましょう。

(二回目につづく。二回目は会員ページに掲載します)

編集・文章整序:中田
2009/09/16(Wed) No.01
<転載終了>