http://mobile.nytimes.com/blogs/krugman/2016/02/09/bonds-on-the-run/

ポール・クルーグマンが、日本と欧州の長期国債のマイナス金利のことをblogで語っています。

What plunging rates tell us is that markets are expecting very weak economies and possibly deflation for years to come, if not full-blown crisis.

「落ち込む国債利回りが我々に教えてくれるのは、これからの景気がとても弱々しいもので、数年のわたるデフレーションの可能性もあるということだ。それが強烈な一撃のような危機ではないとしても。」

マイナス金利政策自体は、国債に回る投資資金を民間投資先に回すための劇薬です。しかし、その劇薬を以てして、民間投資は進まず、むしろ資金は国債に集まったのが今の日本の状況。

脱デフレの金融政策が、かえって今の経済に成長力が無く、デフレ圧に晒されていることを示したのは、皮肉です。


昭和恐慌の時は、高橋是清の金融財政政策で、民間投資が促進され、資金が国債に流れなくなったことで、国債の長期金利は上昇しました。
リフレ政策によって国債金利が高騰しハイパーインフレが来るという当時の正統派経済学者の予測とは、全く異なる結果でしたが、国債金利は確かにあがったのです。

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それと比べると、金融緩和をここまで進めておきながら、資金が国債から去らないというのは、困った事態です。

ただ、間違ってはいけないのは、この「アベノミクス(あるいはクロダノミクス)の失敗」は、数年前にアンチ安倍、アンチリフレ派が盛んに喧伝した「国債金利暴騰&ハイパーインフレ懸念論」とは全く異なるもの、という点です。

確かに、「アベノミクス(あるいはクロダノミクス)」は、ここへきて上手くいっていませんが、それはアンチ安倍・アンチリフレ派の当時の主張は、もっと当たっていないのです。

このあたりの基礎的な理解が、今の報道だけ見ていると理解しにくいところです。