アベノミクスで円安に移行したのに、貿易赤字が減らない、日本は構造的に貿易で稼ぐ国ではなくなったのだ、という論調が新聞や経済誌では定着した感があります。

その際指摘されるのは、工場の海外移転による産業の空洞化や、スマホ等の先端電子機器分野での海外企業(アップル、サムスン)の優位性に象徴される日本企業の競争力の低下。

韓国は円安という逆境においても史上最大の貿易黒字を出しているのに、という指摘もこれに続きます。

今日の日経新聞5面の記事は、その典型と言えます。

しかし、この手の記事は、少々胡散臭い気がしています。

・日本の輸出は伸びていますが、それ以上に輸入が伸びることで貿易赤字になっています。対して韓国は輸出は増えず輸入が減ったことで貿易黒字が生まれています。
・また、スマホ、タブレット等の電子機器の輸入額は、規模的にそれほどのものてはありません。

一部のエコノミストが指摘しているように、日本は金融緩和で内需が刺激されたにも関わらず、世界経済が低迷しているせいで輸出の伸びが限定的になっている、というのが、実際ではないでしょうか?

もちろん、新聞・経済誌の意見が正しい可能性もありますが。

もう少し慎重にマクロデータを分析する必要があるように感じます。