http://mobile.nytimes.com/2013/11/04/opinion/krugman-those-depressing-germans.html?from=opinion

先週、米財務省がドイツ経済批判を行い、ドイツ財務大臣が反論する、という出来事がありました。

ドイツ嫌い(?)のクルーグマンは、すかさずblogで、米財務省の見解を支持するエントリーを続々とアップせていました。

このコラムは、その総集編とも言うべきものになっています。

曰く、
・経常収支=貯蓄-投資であり、貿易収支が赤字であろうと黒字であろうと、投資をしている国であれば、異常な黒字にはならない。
・ドイツの経常収支が巨額の黒字を記録しているのは、ドイツが十分な投資をしていないからである。貿易収支の優秀性をもって経常収支の黒字を正当化するドイツの論理は理屈になっていない。
・ドイツの投資が少ないのは、リーマンショック以降、ドイツが南欧からの投資を引き上げたから。こらによって、南欧、特にスペインの失業率は異常なレベルを保ったままになっている。
・ドイツが誇る貿易収支の黒字も、スペイン等の南欧を苦しめている。ドイツがユーロ圏全体を貿易黒字にしているせいで、ユーロ安が妨げられている。通貨安による輸出主導の景気回復、という常套手段を、ドイツは南欧から奪ってしまっている。
・ドイツがしていることは、古い言葉だが、近隣窮乏策そのものだ。
・世界が需要不足でデフレ圧力にさらされている中、投資をせず、貯蓄に走り、世界一の経常収支黒字を記録するドイツは、世界にデフレをもたらす国とすら言える。

かつて、日本がアメリカから貿易黒字を責められ、「内需を拡大せよ」と迫られたことを思い出します。

アメリカの論理にはハンパツモ感じますが、ユーロという統一通貨の存在によって、現在のドイツの影響力は、かつての日本以上のものになっています。

特に「投資をせよ」との批判に対し、かつての日本は「ひとの国の内情に口を出さないでくれ」と言うことができました。
ドイツの場合、「投資をせよ」と言われているのは、ユーロ圏に属する他の欧州諸国。ドイツの投資の少なさと、貿易黒字とが、近隣諸国を窮乏させている、という批判は、「口を挟むな」と言いがたいものがあります。

しかし、かつての日本ほど、アメリカの軍事的支配下にあるわけでもないのが、現在のドイツ。

盗聴問題で、ドイツの反米感情も最高潮になっている中、米独は少しずつ離反していきそうな気がします。