http://mobile.nytimes.com/blogs/krugman/2013/10/28/three-centuries-of-debt-and-interest-rates/?from=krugman

クルーグマンblogから。

クルーグマンが、イングランド銀行が公表している英国の過去3世紀分の公的債務比(対GDP)と国債金利の経年推移データを紹介しています。

『対GDP比で累積公的債務が増大すれば、政府に対する信用が崩壊し、国債価値が暴落する。即ち国債金利が高騰する。』

クルーグマンの言うdeficit hawk(財政赤字タカ派)による上記のような主張は、イングランド銀行の3世紀分の経年データから立証されるかと言えば…なんと結果は逆です。

自国通貨立ての債務を基本とする英国の場合、
・公的債務(対GDP比)が減った時には、国債金利が上昇(国債価値が下落)し、
・公的債務(対GDP比)が増えた時には、国債金利が低下(国債価値が上昇)しているのです。

この傾向は、クルーグマンが繰り返す以下のような主張と整合するものです。
『公的債務を減らそうとすると、政府支出が減ってGDPが低迷。公的債務の対GDP比は、GDPが下がったことでむしろ高まってしまう。
対GDP比公的債務を下げるには、政府支出を増やして(額面上の)公的債務を増やそうとも、GDPを高めた方がいい。同時に通貨を大量供給して、通貨価値自体を下げてしまえば、対GDP比公的債務はさらに下がる』

ただし、このデータだけから、歴史はクルーグマンの勝者とした、と断ずるのも少し危険な気がします。

公的債務比が増加に転じたタイミング、あるいは減少に転じたタイミング。国債金利が上昇にデータをタイミングと低下に転じたタイミング。
それぞれにおいて、いったい何が起きていたのか。
変化の因果関係は、実際にはどのようなものだったのか。

この点を深掘りしなければ、このデータをどう評価すべきかは結論付けられないでしょう。

ラインハート&ロゴフに立ち向かう、自国通貨立て債務の特性を考慮した新しい財政破綻史研究が望まれるところです。