極真空手時代には、所属道場の方針だったのか、いわゆる「約束組手」はほとんどやりませんでした。(やったのは、「受け返し」というフルコンルール版の約束組手でした)

上段突きを上段受けで弾いて逆突きを返す、といった約束組手をやった機会は数えるほど。「こんな稽古もあるんだぞ」くらいの扱いでした。フルコンルール中心に稽古していた当時、効果的な稽古方法と思わなかった記憶があります。

その後、沖縄空手や本土四大流派の約束組手を見て、これは優れた稽古方法だと思うようになり、「かつて自分が学んだ極真空手の約束組手と違って学ぶ価値がある」と思ったりもしていました。

しかし、そうした見方は誤解だったのかな、と今日思わされました。

Jスポーツシリーズの「空手」が極真空手の入門書になっているのですが、その中の約束組手が予想外に“いい感じ”だったのです。

紹介されていたのは、
・インサイドに踏み込む上段受け逆突き
・アウトサイドに捌く外受け逆突き
・アウトサイドに入る上段受けからの「一教」
など。

インサイドに入る上段受けは、突きを受け流しながらそれ自体がカウンターになりそうな「受け突き」風の入り方。アウトサイドに捌く外受けは、芦原空手風。そして一教に繋ぐ上段受けはまさに「取り手」。

前屈立ちで踏ん張って腕の力で突きを弾く。そして相手の距離感を無視した逆突き・・・という私の中で固定観念化していた極真空手の約束組手のイメージと違い、それは理を備えた武術的な攻防に見えました。

これらは、極真会館が松井館長時代になってから整えられたメニューなのか、あるいは大山総裁時代からの遺産なのか。

真相は分かりませんが、意外に理に叶った極真空手の約束組手の体系に、固定観念、先入観の怖さを知りました。

空手 (Jスポーツシリーズ)/数見 肇
¥1,155
Amazon.co.jp