客先に向かう途中、宇城憲治先生の「武道の原点」を読んでいます。
最近の宇城先生の著作やDVDは「気」の修得にフォーカスを当てたものが多く、「まずは空手の技と術。気はあるとしても、技と術の稽古の成果として後から付いてくるもの」と考えている私には、食指が伸びないものばかり。その点、約10年前に書かれた「武道の原点」は空手が主に書かれているので、楽しく読むことができます。

とは言えこの「武道の原点」、難しいことがサラリと書かれていて、相当に難解です。どんなに読んでもその時点の自分の空手理解以上には理解が進まないという困った本です。基本的に「できてるってこういうことだよ」とは示してくれているのですが、その上達過程が分からない。上達過程のフローチャートは書かれていますが、各プロセスで掴むべきものが“不立文字”過ぎて、その上達を達成した人が振り返った際には分かりやすくとも上達前の人が見ても理解不能なんですよね・・・。

そんな訳で、この「武道の原点」は一年置きくらいにしか目を通さない自分の成長の目盛りのようになっています。

・・・前置きが長くなり過ぎました。

今回「武道の原点」のことを書いたのは、以前よりはこの本に書かれたことの意味が分かるようになったと感じたためです。
特にサンチンの呼吸と肘の締めによって「きめ」をつくる話は、久場先生にセミナー後に背中と脇を触らせてもらい、その後チーシーを続けながらサンチンを反復してきたことで、感覚が分かるようになってきた気がします。
肘の締めとは脇の締め、チンクチの掛け。無理に締めるのではなく、呼吸と連動させることで自然と力みのない(拮抗筋を緊張させない)締めが生まれるようにするのがサンチンという型。まさに呼吸の型です。

加えて宇城先生が示されるサンチンの各種分解も、以前はサンチンとの関わりがあまり感じられなかったのですが、これも久場先生の裏分解を知ることですとんとハラに落ちて読むことができるようになりました。一見動きが型通りでなく見えますが、本質的な部分で同じことをしているのだとやっと分かってきたような気がします。

いずれも入り口の入り口ですが。

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