極真空手(松井派)の世界大会は、ブラジルのティシェイラの優勝に終わりました。
ベスト4も全員外国勢。
日本人の優勝を至上目的にし、日本人対外国勢の構図で内外を盛り上げてきたこの競技も、次なる新しいステージに入ったという感慨がありました。

日本人としては残念ですが、極真空手が代表するフルコンタクト空手が、今後グローバルスポーツとして生き残り、普及していくことを目的に置くならば、むしろ良い結果だったのかな、という気もします。

田中選手、内田選手が負けた試合は、日本人から見ると微妙に彼らが優勢だったように見えました。以前であれば、ホームタウンデシジョンで日本人に旗3本上がっても不思議ではない展開でしたが、今回はそうなりませんでした。例え日本人エース相手でも微妙な判定負けにはさせられないんだ、そう実感した外国人選手は多かったのではないでしょうか。彼らの意欲・情熱に響くものはあったように思います。

今という時代は、極真空手の最強アイデンティティが崩壊し、さらにはグローバルな空手競技としてのアイデンティティも伝統空手のオリンピック競技化で危機にさらされている時代です。
また、日本の右肩上がりの成長が終わり、新しく世界経済のエンジンになろうとしているBRICS諸国の勢いをいかに利用するか、という時代とも言えます。

格闘技・武道の軸で極真空手を巡る外部環境の厳しさを見た後で、極真の内部環境としての日本対世を再解釈すれば、日本を脅かし台頭する極真ロシア、極真ブラジルは弱みではなく強み。

そうした強みを押さえ付けるのではなく、むしろ伸ばしていくことが、極真空手の生き残り戦略になります。

日本人エースを特にひいきしなかった今大会は、極真空手が他格闘技・空手と互せるグローバルな格闘スポーツと生き残るための本格的な出発点になったように思います。

以上、日本勢の敗北にガックリしながら、なるべく理性的に考えてみました。

個々の選手や技術について思ったことは、また別の機会に。