少しだけ、土曜の稽古とその後の反省会で気になったこと。
それは道場の雰囲気です。

入り口はフィットネス感覚で、しかし黒帯のレベルは高く、と考えているうちの先生ですが、入門者向けの楽しい指導と、上級者向けの厳しい指導の両立が少しずつ大変になってきたような印象を受けました。以前は、全員が初心者だったから、フィットネス感覚でよかったのですが、最近は茶帯まで進む人たちも現れ、道場生内でも、意見の相違が出てきたようなのです。
「せっかく空手を習っているのだから、他の道場の黒帯に笑われないレベルになりたい」という意見の人もいれば、「今の楽しい雰囲気がなくなるなら、この道場の良さがなくなる」という意見の人もいます。

昔は、道場主のH先生が優しく、師範代格のM先生(女性)が厳しく、という役割分担があったので、厳しさと楽しさの両立は自然と出来上がっていたのですが、M先生が仕事の都合で欧州に去ってからは、それが難しくなったという側面もあるのでしょう。
道場主のH先生から、「道場経営の一つの壁が見えてきた」という言葉が漏れたのが心に残りました。

M先生が欧州に去る前に、「あなた達茶帯になった人たちが、私の代わりに厳しくしなさい。でないと、最後にH先生が苦労するんだよ」と言い残してくれたのですが、それが現実になってきたのだな、と思いました。

そのM先生の言葉を、稽古中に自分自身がピシリとしていれば、帯下も学んでいく、と解釈していたのですが、そのでは足りないことも分かってきました。私やその他のM先生に厳しくされた茶帯、緑帯のメンバーが最近稽古に行けなくなり、厳しい人がいない環境で昇級してきた新メンバーが入門者たちが触れる先輩たちとなることで、ちょっと空手道場としてはくだけ過ぎた雰囲気になっているのです。

注意をすべき時期に来ているのでしょう。

しかし難しいのは、我々が厳しくすることが、道場経営にどう響くか分からないところです。
ここは、あくまでもH先生の道場。先生自身、かつての師範代M先生のように厳しくしてくれる指導員が必要と考えている反面、その配分をどうするかは決めかねているようにも見えます。
確かに難しい問題ではあるのです。
大人だけを対象とした道場なのに(現在多くの空手道場の収入は子供クラスが主です)、たった3年間でこれだけ多くの道場生を集めることができたのは、楽しい雰囲気あってこそ。

しかし、飲み会の時、先生が話した「うちの前の時間で、合気道の稽古をしている人達の礼儀正しさに感動したし、考えさせられた」という話。騒がしい飲み会の空気の中で、それが届いたのはホンの一部でしたが、そこに先生の悩みを見た思いがしました。