北部ハイブッシュのカロラインブルーいかに?。
那須高原のオレのブルーべリー観光農園に、この品種を「主力」として社運(園運?)を賭けたことがある。
カケの報いで大きく外してしまい、人生の致命的な大打撃を被ってしまったが、ともあれ品種の特性を述べてみよう。
カロラインブルー 2019年7月28日 撮影
大きな理由は、晩生品種ということで、選んだ。
というのは、スパルタンを那須高原で栽培すると、関東平野と比べると2週間ぐらい熟すのが遅れるので、7月前半に熟してしまい、梅雨の真っ最中になってしまうからだ。
だったら、その遅れる日数を利用して、梅雨開けしてから熟す品種を選べば、8月の夏休みや盆休みに観光農園として営業できる・・・と計算して、当時、優秀品種として名高いカロラインブルーを選んだわけだ。
そもそもカロラインブルーは、レイトブルーのタネを蒔いて、その実生からオーストラリアで選抜された品種であって、レイトブルーの改良品種というか大変よく似ている。
レイトブルーならオレは福島県三春町の観光農園でたくさん摘んだことがあり、なにぶん、酸っぱいのだが、ハイブッシュブルーべリーの晩生品種では中心的存在だ。
エリオットという最晩生品種も存在しているが、それは中粒品種で、おまけにさらに酸っぱいので、当時、最新品種であったカロラインブルーは大粒で味も良いとのことだったので、カロラインブルーをオレは選んだわけよ。
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房状に果実が成る 2019年8月10日 撮影
自根でも土壌適応性がある、という情報も当時見かけたが、うちの元田んぼでは土質が悪いこともあって、自根では全然だめで、接ぎ木でなければ育たなかった。
ブリジッタというのもカロラインブルーと並んで、同じオーストラリア育成の品種で、ブリジッタは土壌適応性がある品種として有名だったが、これもうちの畑では自根では育たなかった。
あ、ブリジッタもカロラインも人名が元になった品種名であって、農業試験場の研究員の名前らしい。
カロラインは、キャロラインさんという人・・・かと思ったが、つづりは ka から始まるので、ca ではないので、キャロラインではなくカロラインで発音はいいらしい。
カロラインブルーの接ぎ木は、スパルタンみたいに活着が悪かった!。
スパルタンほどではないが、失敗がかなり多くって、それが半数以上に達した。
活着が成功したとしても発育が悪くって、それまで元気良く育っていたラビットアイ台木が、カロラインを接ぎ木してからは、しょぼい育ちになってしまって、台木まで衰弱してしまってた。
社運?をかけた苗木たちなのに、どれもこれも過半数がしょぼい衰弱苗になってしまって、開園は不可能になってしまった。
経験からいって、ラビットアイを植えて、それが育っても、ハイブッシュを接ぎ木すれば、ラビットアイだったころの伸びの半分ぐらいの成長に衰えてしまう。
もともと、ハイブッシュの成長は弱いね。
土質の悪さもある。
とまあ、失敗した接ぎ木苗は、やりなおそうにも台木のラビットアイまで衰弱してしまっているので、その株でやり直すにはまた数年かかった。
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それでもなんとかそこそこ成長したカロラインブルーの樹の収穫話に飛ばそう。
中略だな(苗木育成時代の話は絶望的すぎるんでな)。
ようやく育ったカロラインブルー樹からは、大粒があるにはある。
大きいのは最初に熟す。
小粒も多いので平均すれば中粒 2019年8月10日 撮影
カロラインブルーは開花の花も少なめで、樹がある程度大きく育たないと、実がとりにくい。
結実率は中程度、といったところだ。
で、熟し始めると、最初は大粒が成る。
スパルタンほどではないが、一応大粒品種ということになっているが、なにしろ、大きいのは最初だけで、その後は中粒や小粒になってしまう!。
それらをまとめて平均値で言えば、中粒品種といったところだ。
で、その最初の大粒、食べると、渋かったり、苦かったりの味がなんと混じっていて、ややまずい。
または酸っぱい。
なんじゃこりゃ!!。
しばらく完熟を待つ必要があるともいえる。
完熟すればだいぶマシになるよ。
が、なんつーか、旧式の品種じゃないかなあ?。
品種改良選抜が不十分だったというか、大関ナーセリーが扱っていないのは、これらの欠陥のためか?。
冷蔵庫で保管したもの。白い粉が多く見えるが実際は白粉乏しく、結露による白だ
冷蔵庫で冷やして保管しておくと、酸味が薄れてきてけっこう美味くなる。
果実の形は凸凹していて、見た目はかなり悪いな。
大きさも中粒が主流なので、物足りない。
B級グルメといったところだ。
とまあ、オレは不満タラタラなわけよ。
ジャムにすれば使えるが。
B級といってもまだいい方で、冷静な評価として『上中下』でいえば、上の下。
上位グループには入る(スパルタンなら、上)。
ハイブッシュブルーべリーゆえの高品位のためで、一方、ラビットアイとなるとブライトウェルが那須高原では高温の積算不足のためなのか、品質が中どまりで中の下品質のものを大量に作っていた現状からいえば、カロラインブルーはまだマシともいえるが。
対比として、サミットと(ついでにアーレンと)タイタンを述べておこう。
サミットはカロラインブルーよりも熟期が少し前だったので、晩生品種狙いのオレとしては、サミットはあまり重視しなかった。
が、実際は熟期はほぼ同じだな。
8月1日前後が熟すピークで、お盆休みまで持たないのはどちらも同じだ。
サミットは果実のシブさもなく、接ぎ木もしやすかったので、カロラインブルーの接ぎ木をするのは失敗の多さでうんざりしたので、今後はサミットでやることにしたよ。
アーレンという南部ハイブッシュもだいぶ接ぎ木したが、接ぎ木活着成功率がよくもなく悪くもなく中程度で(サミット良 アーレン中 カロラインやや不良)、アーレンは粒サイズも中程度だった。
平凡でも中堅品種と思っていたが、果実が軟化する病気が今年出てたので、今後、増殖は中止したよ。
タイタンは那須高原だと8月の上旬から熟し始めてお盆の最中にもちゃんと熟し続けるので(カロラインやサミットは盆休みの時期は中粒以下の小粒が残っている状態)、接ぎ木の成功不成功で四苦八苦という苦労もしないで済むのが助かる。
じゃあ、これからはタイタンで決まり!、とまではいえないのは、完熟カロラインの味よりもタイタンの味が悪いからだ。
昨日(2019年8月14日)の収穫と味見では、味は完熟となった中小粒のカロラインが一番で、すっぱめのサミット2位(粒は同サイズ)、タイタンは完熟不足なのか大粒でも味は3位だな。
とまあ、カロラインの不良を長々と述べたけれど、最後はちょっとイイところを証言しといた。