幹から切ってしまう。

そんなことできない!、って思うだろ。

そう思うのが正常ね。

だから、本数をあらかじめ多くしておいて、年ごとにローテーションで切る。

 

 カナダのローブッシュブルーべリーでは全面を焼いて、萌芽更新して、2年に一度成らせる。

そうは知っていても、いざ自分となるとなかなかできないものさ。

 

 事前情報はこのくらいでええわ。

あとは実際にオレがやった切り方と結果を載せたる。

↑これはスパルタン。昨年に幹から切ったもの。幹の高さは平均50センチぐらいで。

赤い枝は再生したもの。スパルタンって、樹が直立して背が高く育ちすぎる!。高さ2mの防鳥網に

収まらないんだ。誘引しようが剪定しようが根元からうまく芽は伸びてくれない。

そして、従来型の細かい剪定剪定を毎年繰り返していると、「く」の字型にクネクネ曲がった長い枝が

できあがってしまい、そのような屈折を繰り返した枝には大実が成らなくなる。

そこで、ばっさりと太幹だけ残して切ってしまうと・・・一夏(一年)で見事にこんもり再生する。

ただし、1年間は収穫皆無になる。次の写真は上の左側の樹。

 

幹だけにしてしまった。過去に切り詰めた経験からいって、大丈夫だと確信したから、また切ることができた。

結局はトクだってことがわかったから。タイヤをかぶせてないのは、切り詰めてからじゃないと、かぶせられないから。細かい枝があると、タイヤを通すのは大変。

なおこの幹には、細い枝がついている。というのは太い幹だけだと、潜芽から発芽するが、潜芽は発芽が遅い!。

一か月以上も遅くなってから発芽した樹があって懲りたので、この樹は芽が早く伸びるように、わざと赤い若い枝を

少し残してある。次の写真はこれの左側に写っている樹について。

 

これが潜芽で発芽が遅れた樹。5月どころか6月過ぎてから伸びてきたが、幸い、枝がこんもり茂った。

切り詰めたときに、タイヤをかぶせて(ダンプのタイヤをくり抜いたもの)、それにオガクズを入れてある。

切り詰めるときに、幹の地面すれすれの根元から切ってしまうと、再生した芽は弱々しい傾向があるので、

栄養は幹に貯まっているのだと思う。ブルーべリーの地下部は地上部に比べると、根の容量はかなり少ない

のが普通なので、太い幹を切り捨ててしまうのは、再成長で損になるので、残した方が得。

幹の切断面に赤いペンキが写っているが、断面から枯れ込むのを防ぐために塗ったペンキのスプレー。

なお、背後は山林なので、野うさぎが来て、スパルタンの新枝は食われてしまいやすい。その食害を防ぐ為にも

地表すれすれで切って再生するのではなく(食われ易い)、幹を50センチの高さで切って、うさぎが立ち上がっても

食われない50センチほど幹を残す。30センチや40センチだと再生した新梢が食われてしまう。

上記の写真の左側に写っているのが、次に紹介する写真になる。

 

↑これは、左に大きく長く傾いた枝は残してある。

根元の幹だけ残すと、直立型のペンシル型の樹形に再生するが、立錐型になりすぎる。

とくにスパルタン。枝を広げたいと思ったので、この樹は元の枝でヨコに長く伸びた枝が

あったので、わざと残してある。

あと、樹と樹の間隔は2.5mだったが、大木になると隣り同士の枝が接触してしまうようになっていた。

だから2.5mではやや狭いのだが、(樹冠が1本あたり2mぐらいになっていた。)

強剪定で、2本に1本を強剪定するなら、間隔は充分に保てることになる。

計画密植という方法があり、初期収量を増やすための最初はわざと蜜に植えるやり方だが、ブルーべリーは

強剪定の更新というのが効果的なこともあって、2mほどの間隔で植えても大丈夫ということになる。

また、隣りの樹がくっつきまくった園もよくあるが、剪定してもとても時間的に間に合わないから、大変すぎる

からな・・・。細かい剪定は嫌になってしまうから、2本に1本を、幹から切ってしまって、

燃やしてしまえば、剪定はすぐに終わる、ことになる。大剪定する勇気があればだが。

なお、ブルーべリーの枝は燃え尽きる時間が早いので、燃やすには適している。

 

↑これはウェイマウスの接ぎ木のもの。台木はホームベル。台木のサッカーは大量に発生するが、それは

切り除いてある。切り除くときに、根っこが着いていれば5本ぐらいまとめて移植する。1本ずつ移植だと

弱々しい。またサッカーには根がろくについていないものが過半数。

ウェイマウスの自根樹は、切り詰めても再生が不十分。接ぎ木苗なら再生は良い。ウェイマウスは北部ハイブッシュ

に分類されているが、1年で再生するとき枝分かれしながら伸びる傾向が強く(スパルタンは枝分かれが少ない)、

ローブッシュの傾向が強く、1年で枝分かれも良いこんもりした立錐型の樹形になって、栽培はラク。

 

↑これもウェイマウス。枝分かれしやすい品種なので、3年以上たつと、枝分かれした枝に

さらにそこから細かく枝分かれするようになり、小粒が多くなる。こんな状態で剪定すると

いくらやってもやっても作業が終わらなくなる。だから幹からバッサリ!。

切った枝は焼却処分すると早い。チップにするのは、太めの木質は硬くて砕きにくいので、

焼却の方が手っ取り早い。サッカーや細枝などは剪定鋏でこまかく切ることができるが。

切り詰めた断面が白いけれども、これは赤ペンキをやめて、木工ボンドを塗ったため。100円ショップで

買った木工の水溶性ボンド。ペンキは乾いてしまい、あとで割れてしまうため。割れたところは

枯れてしまう。

木工ボンドは、癒合剤と大部分が成分が同じ。また、割れてしまっても、木工ボンドは雨がふると

水溶性のため水を吸ってまたふやけて、割れにくい。また割れたところをまた接着するので、割れが

広がらない、はず。なお、木工ボンドを塗るというのは、園芸の古い本にも載っているから、昔からある

方法らしい。でもその理由は載ってなかったから、オレは赤ペンキで失敗するまで理解できなかったが。

 

↑これもウェイマウス。分岐するので、1年で充分再生する。スパルタンの再生はやや疎になる。

 

↑スパルタン。幹が細いので、幹を高さ50センチぐらいで切っても、この樹は再生が不十分だ。

スパルタンは枝の発生が少ない。

 

↑これは別の園にて、荒廃ブルーべリー園の接ぎ木ハイブッシュ(品種不詳)を、

幹を50センチほど切って、残したもの。元の樹は大衰弱していたようにみえたが、

幹だけ残した強い剪定で、綺麗に再生した。枝分かれが少なかったので、ピッチング(投手のピッチングと同じで

指先の先端だけいじる。園芸の場合は枝の先端を摘むことを言う)して、わざと枝分かれするようにしている。

ひょろ長くのびると、強風で新梢が折れてしまいやすい。その折れを防ぐために、赤いつづり糸で

枝同士を縛って、折れないようにしている。この樹はこのあと、夏に移植したため枯れてしまった。

 

 

 

以上、というわけだ。のべ5年ぐらいはかけた剪定と実験と結果をここに述べてみた。

長い年月をかけても、ブログにするとわずか1時間程度で書いて、読んでも10分程度の知識に過ぎないんだよな。