メデールという伸びてちぎって使える接ぎ木テープがあって、別名はパラフィンテープともいうのだが、パラフィンとは、ロウのこと。
ロウソクのロウだ。
接ぎ木したとき、穂木が乾燥しないようにグルグルとミイラ巻きすることもある。
でもミイラ巻きにするとき動いてしまってズレてしまったりするし、あと、冷蔵庫保管のときに湿ったキッチンペーパーで包んでいても、接ぎ木して野外に放置しとくと、穂木が乾いてしまう。
というわけで、あらかじめパラフィンでコーティングしちまおう、という作戦だ。
このロウ漬け技術は、かなり古くからされている技法ではあるが、オレがやるのは初めてだ。
動画見たりして確認しておいた。
材料もあらかじめ揃えておいた。
あ、ロウから説明しよう。
パラフィンワックスという
ロウは、解ける温度によって、品質が分かれている。
融点
パラフィンワックス115°F 46.1℃
パラフィンワックス120°F 48.9℃
パラフィンワックス125°F 51.7℃
パラフィンワックス130°F 54.4℃
パラフィンワックス135°F 57.2℃
パラフィンワックス140°F 60.0℃
パラフィンワックス145°F 62.8℃
パラフィンワックス150°F 65.6℃
パラフィンワックス155°F 68.3℃
なんといっても気がかりなのは、熱いロウに漬けることで、芽が煮えて熱死?してしまうんじゃないか?という不安だ。
気になって仕方ないので、オレは一番融点が低いパラフィンワックス115°Fというものをネットで購入しておいた。
あとで温度計で測りながら溶かしたけど、解けるのは50度前後のようだったが。
情報としても、ロウ漬け用のロウは、50度ぐらいで解けるものが推奨されている。
キャンドル用のロウはもっと高温で解けるものらしく(パラフィンワックス135°Fか?)、穂木用には不適らしい。
さて、スパルタンの穂木も10数センチで揃えて切って、じつに130本ぐらいか。
ロウを湯煎とやらで溶かし始めた。
湯煎というのは、手作りチョコレートを作るときに使われたりするらしいが、料理ニガテなオレは湯煎自体が人生初めてだ。
ロウが解けねえ・・・。
夜中で時間がたち過ぎるので、ガスボンベのトーチを使って、古フライパンの上からロウに向けて直接火炎を吹き付けて溶かす。
湯煎の水温は50度にしたが、解けたロウが再び膜を張って固まりだすので、水温60度ぐらいにした。
動画見ると、水が沸騰して泡が立ってる!。
水温100度か?。
あれじゃ、湯煎しているとはいえ、ロウの温度は80度以上に達しているぞ!。
穂木が煮えちまうじゃないか。
融点50度はどこへやらだ。
ともあれ、オレは律儀にロウ温度50度ぐらいで、凝固しない程度に(ちょっと冷めると膜が張り始める温度)、溶かして、穂木を浸けることを開始した。
温度計もピンセットも100円ショップで揃えておいた。
あと、フライパンも不要品を用意しておいた。
ふだん料理に使っているフライパンを使うと、ロウがこびりつくので、調理に使っているものは用いない方が無難だな。
ロウに浸すと、穂木自体が冷えているので(室温10度ぐらい)、木の周りがすぐにロウで凝固した。
1秒ぐらいで、すぐに引き揚げて、新聞紙に乗せて乾かすというか冷やす。
コーティングといっても木とロウは接着剤のように密着するのではなく、ロウがべりべり剥がれそうになっているのを見ると、たんに枝をロウが覆っただけだ。
ロウが比較的低温で溶けるタイプなので、真夏になると、溶かしてもいないのに室温で軟化してしまうらしいが、芽が突き破って発芽するのにはちょうどいいかもしれない。
パラフィンテープ(メデール)と同じだろう多分。
酸欠になるかな?と思ったが、水中に浸けてても大丈夫なことを思えば、まあ大丈夫だろう。
ロウ漬け自体は、園芸試験場などでも使っている技術だからな。
発明は明治時代ごろらしいが、当時はロウの配合とか大変だったらしい。(関する技術は、接ぎロウとして今も一応現存している)
穂木をロウに浸しては引き揚げて100本以上、細かいカスが机上や床に落ちてしまいやすく、スリッパがツルツル滑って危険だ。
台所もロウで汚れるので、できれば屋外にてカセットコンロでやった方がいいかも。
10本ずつ輪ゴムでくくって、ジップロック?の袋に入れて、ようやく完了、夜なべ仕事も終わって、これでようやく寝れる。
あとで、宅急便で発送する予定。
今回のは特別扱いの品で長期保存用だが、オレが自家用で自分の樹に接ぎ木する場合は、スパルタンの樹から穂木をとって、その日、その場所で、台木にすぐ接いでしまって、そして多めに接いでおく、という単純なやり方でも一応そこそこ間に合う。
宅急便の箱に入れたところ