しかし駐車場といい、参道といい、人がいないのは、どうしてなんだろう?何故なんだろう?(この時の私は知る由もなかった)
アスファルト舗装が石畳に変わるのは、参道として実に風情があるとは思うものの、足を踏み出すと凹凸が激しく実に歩き難いのだ。
参道の斜面はやがて石段へと変わるが、やはり凹凸があり「十七曲がり」「1159段」「標高差百数十メートル」のワードと共に肉体的、精神的ダメージを与えてくる。
これは「試練」だ。過去に打ち勝てという「試練」と私は受けとった。
とは言うもののディアボロに変化できるはずもなく、登りの時間を消し飛ばして、登頂した結果だけが残るなんてこともない⋯。
1番目の曲がりで既にグロッキーな私を尻目に、軍曹はサクサク、スタスタと石段をクリアしてゆく。
日頃の運動不足に我が身を呪い、汗まみれになって軍曹を追いかける。
時折私が追いつくの待ってくれている軍曹には感謝しかないが、あんた元気すぎるだろ。
樹木の間からの美しい景色を眺めながら幾度かの休憩。
しかし私たち以外に登って来る人をほとんど見ないし、降りて来る人もほとんどいない。
私たちを抜いたりすれ違ったりする人は、トレイルランニングよろしく走っているのがほとんどだ。
この参道を走るとかアタオカ(失礼)かよ、などと悪態を吐きながら、軍曹の後を追っていると漸く石段が消え坂道となる。
そして見えてきた建物、あれは売店ではないか!何か冷たい飲み物をと売店に入ると、今や珍しい瓶の飲料水の自販機があるではないか。
ジンジャエールを買いベンチに腰掛け飲みながら、ふと横を見ると目に入ったのがロープウェイ乗り場の文字⋯。
えっ、私たち以外のここにいる人たちは、つまりロープウェイでやって来たと言うことなのか?
呆気に取られている私を見て軍曹は、登るから意味があるんだよと笑っている。
確かにそうかもしれないが、私はそれほど信心深い人間ではないので楽をするほうがいいのだ。
しかし今回はお任せの旅だ、文句は言うまい。何よりジンジャエールが美味いのは登ったおかげだ。
さて気を取り直して参詣するといたしますか。
To Be Continued