JAPAN-EARTHQUAKE Vol.14 ペットと共に
人々と共に被災したペットたち。避難所などで、たくましく生きている。その仕草や表情で飼い主だけでなく、まわりも明るくする事だろう。阪神・淡路大震災で中学2年の時に被災し、学校に約半年間避難した神戸市の大学院生井上烈さん(30)は「ほかの人のペットを世話するのも楽しかった」と話している。
宮城県動物愛護センター(富谷町)は23日までに、東日本大震災で飼い主とはぐれ、保健所から送られたペットの犬約20匹を保護。はぐれたペットは「数百から数千匹」と指摘し、飼い主たちに「生活が落ち着いたら迎えに来てほしい」と呼び掛けている。
「生きていく元気になります」。震災から10日ほど後、同センターを訪れて愛犬を引き取った塩釜市の男性は涙声だったという。
宮城県だけで1万人を超す死者・行方不明者を出した大災害から10日余り。混乱の中、飼い主とペットが再会できたことに、関係者は「奇跡だ。心の支えになるはず」と声を弾ませた。
県塩釜保健所岩沼支所には地震発生2日目から「津波で流れ着いた犬がいる」などの連絡や、捜索活動中の自衛隊から「保護した犬」の引き取り要請を受けた。自らも被災した同センターの川村一夫次長は「人命救助優先の現状は仕方ない」と話す一方、「餌、ガソリン、人員すべてが足りない」とペットの置かれた現状を憂える。
県は通常保護から数日で行う殺処分を、緊急時として見合わせている。「100匹が限界」の同センターの保護能力を超えるのは時間の問題だ。
川村次長は「早急に避難所を拡充する必要がある」と訴えるとともに、県を通じてペットの他府県への疎開を要請する考えだ。