火曜日は 大学で翻訳講座の日です。


いつもは実際に訳して、訳したものを読んでいただいたり話し合ったり、

が多いのですが、今回は

「翻訳は だから日常のコミュニケーションにとっても役立つ」

という話をしました。


ほんと?

翻訳なんて専門的なスキルでしょ?

と思ったあなた。


それが、そうではないんです。

私が 人間関係を楽しめ、ごきげんでいられる秘訣は

翻訳という仕事にあった、といえるかもしれません。



そこで題して、

 ~~翻訳は、人間関係を学ぶ最高の授業です~~



元日経新聞記者鈴木淑美がお教えします◇ファンを増やす文章術・会話術

まず、ひとつめの理由。

自分以外の人の立場に立って、

別の感じ方、別の考え方を理解するくせがつく。


翻訳は基本的に自分以外の人の論理や感性をなぞり、

別の言語で再現する作業です。


いったん、「私」の論理を「脇に置いて」

ひとの論理、思考回路でものを見直してみることが必要になります。


これ、日常のコミュニケーションでも役に立つんですよ(^O^)


相手には相手の理屈があり、おそらく相手の立場にしてみたら

その一言一言がとっても理にかなっているわけです。


それを、「自分とは違う」「わからない」と片付けずに、

相手の立場でなぞってみると――

人間関係も別のステージに入るように思います。


怒らなくなりますしね。

より現実的な解決方法を見つけるにはどうしたらいかを考えるようになります。




ふたつめ。

相手のいいところ(共感できるポイント)を探すのがうまくなる


著者や主人公に共感し、どこかしら好きにならないと

翻訳なんて面倒なだけです^^;


はじめは「う~~この著者、何がいいたいかさっぱりわからない!」とか

「ぜんぜん共感できるところがない!」と思っても、

何度も読み、読み込むうちに共通点が見つかり、

いいところ、共感できるポイントも見つかるものです。


つまり。

翻訳は ベースが「共感」なんですよね。批判ではなく。



これ、日常のコミュニケーションでもとっても大事。


相手のあらを探すより、

まず 共感する。

「好きになるのが前提」で考えると、相手の言動がまったくちがって見えてきますよ。




三つめ。

字面ではなく、真意を理解しようとする。


翻訳は一字一句 原語の字義どおりに訳すとはかぎりません。


言葉の表面的な意味にとらわれず、どういうつもりで書いているのかを考えて

訳していきます。


毎日のコミュニケーションでも、

同じ日本語を使っているから、

話している意味はストレートにわかりそうに思えますが

じつはそうではない、ってこと意外と多いのでは。


ごくわかりやすい例でいえば、

相手が「わかった」といっても、「理解・納得・同意した」という意味ではなく

ただのあいづちだったり・・・^^;


逆のパターンもあります。

「ほっといてよ」という言葉がじつは「さびしい」というメッセージだったり。


まだ「好きな人」が相手であればそう考える習慣もあるでしょうが、

そうもない人の場合――姑の愚痴など(笑)、本気でそういっているのか、

ほんとうに伝えたいことは何なのか、

自分の言葉におきかえないと、余計なことでもめることになりそうです。



そのほかに


ボキャブラリーが増える


感情をあらわすボキャブラリーが増えると、

感情をゆたかに感じられるようになります。


ウレシイの一言だけでなく、

もっときめこまやかに いまの「嬉しさ」を表現する――

きっと 感情も深く、豊かになるはず。



元日経新聞記者鈴木淑美がお教えします◇ファンを増やす文章術・会話術  わんことのコミュニケーションもとれる・・かも??




というわけで――翻訳の勉強には いいこと がいっぱい!!


 相手の立場に立ち、相手の考え方をなぞるくせ

 好き前提で、相手に共感ポイントを探すくせ

 相手の言葉の真意を探るくせ


がつきますよ(^O^)