7月のとある日、弘美はベイスターズファンの彩に誘われてナイターを観に横浜スタジアムに行った。今日は阪神戦・・せっかくなら違うチームが良いなと、あまり気が乗らなかったが、ビールつきでっ!と言うので仕方なくついて行った。

試合を見ていると急に、後ろの二人組が「野球好きなんですか?」と話しかけてきた。弘美は嫌いなんて答えることもできず彩と二人で微妙な苦笑いを返すと「急に話しかけてごめんね。嫌じゃなかったら餃子どうぞ」と爽やかな笑顔で差し出してきた。

「いえ」と断ると、「ピザも買っちゃって、ちょっと多すぎて。嫌じゃなかったら食べてやってください」と言われ、弘美も彩も餃子は好きなのでお礼を言い受け取った。食べ終わって二人とも「ごちそうさまでした」と言うと「こちらこそ食べてくれてありがとうございます!」とまたしてもさわやかな笑顔で返してくる。なんとなく人懐っこい感じがする。

すると片割れのキャップをかぶっている方が「会社の福利厚生?」とまた話しかけてきた。そう、この席は会社の福利厚生で来る人が多い席なのだ。

でも、私たちはちょっと違う。だけど説明するのも面倒くさいし、わざわざ言うこともない。ただ、「アハハ」と返すと「何の仕事してるんですか?」と爽やかな方が次の質問を始めた。彩が答えずに「何の仕事してるんですか?」と同じ質問だけを返した。

「セキュリティ関連なんだよね。」ともう一人がちょっと自慢気な感じの答えが返ってきた。

セキュリティ関連?

へぇー。警備員とかなのかな?

弘美は爽やかな笑顔の方は確かに鍛えてますって感じだけど、こっちは何か違う・・。同じ仕事じゃないのかなと思っていると伝わったのか、「怪しくないから() 会社この辺?」とキャップを外し微笑む。坊主に驚きつつも二人とも愛想笑いをしながら頷いた。なぜか満足げに「へぇ~事務系?」とまだ懲りずに質問してくる。「はい」とだけ返すと「パソコン苦手でさー出来る人羨ましいんだ」と坊主は意外と話好きな感じのようだ。

会釈をして弘美と彩が前を向き野球を見ることにした。少しすると後ろから「中さんは阪神ファンの子としか話さないのかと思ってました。」と聞こえてきた。どうやらベイスターズファンではないようだ。二人は試合中も結構話していたが、最近ではなかなか見ない感じのかなりタテ社会の先輩後輩って感じだった。

 

男社会で生きる男性二人には普通のタテ社会、上下関係がしっかりしている先輩・後輩の関係

女性二人には慣れないタテ社会

 

時代が変われば普通も変わる。

人が変われば普通も変わる。

環境が変われば普通も変わる。