ベイスターズが勝ち、花火も見られたし満足だねと弘美と彩が帰ろうとすると大地と祐介が軽く飲まない?と誘ってきた。
二人とも目が笑っていない。怖いなと思いつつも何だか断りきれない空気を感じ、弘美と彩は「1軒だけなら・・」と行くことにした。
横浜スタジアムを出てすぐ美味しそうなにおいがしたすぐ近くのたこ焼き屋に吸い込まれるように入っていった。
カンパーイ!
美味しそうなにおいと飲み屋の雰囲気につられ、弘美と彩の面倒くさいと思った気持ちがどこかに飛んで行った。
笑顔の爽やかな祐介が「すみません。さっきはちゃんと自己紹介してなかったっすよね?自分は山田祐介です。」とさっきと同じ爽やかな笑顔で自己紹介をしながら「んで、こちらが先輩の山中大地さんです。」と続ける。それに続き弘美と彩も自己紹介をする。
大地は「いつからベイスターズファンなんですか?」と次の質問をしてきた。弘美と彩は「生まれた時から」とおどける。すると大地は「俺も!生まれた時から阪神ファン!虎!虎!」とおどけて返す。
試合中に二人の会話は聞こえていたから知っている。だけれども、弘美と彩は知らないふりをして驚いて見せる。そんな二人の反応を見て祐介は「あ、中さんだけ阪神が好きで俺はベイスターズがずっと好きです」と少し慌てた感じで言いながら笑う。「良かった」と彩が笑うと大地が「俺もベイスターズ嫌いなわけじゃないよ。ただ、虎がねー」と笑いながら大地と祐介は煙草に火をつける。
初めて会ったとは思えないくらい野球の話で盛り上がった大地と祐介と弘美と彩は終電も近くなり解散することにした。連絡先を交換しグループラインを作成し、弘美と彩は関内駅に、大地と祐介はもう少し飲むからと福富町の方に消えていった。
弘美と彩は電車に乗り「あの二人ちょっと・・」とだけ二人にしかわからない距離感で話しながら帰った。
誰でも居酒屋の雰囲気にのまれてしまうことはある。
居酒屋で飲んでいる時ならいつも以上に話せるというのも普通のこと。
酒の力を借りたら本音が言えるということも実は普通のこと。
酒を飲んで後悔することがあるというのも普通のこと。
酒は飲んでも飲まれるな。 わかっていても難しい