Hamayanと猫 絵を描く暮らし -8ページ目

Hamayanと猫 絵を描く暮らし

猫と暮らすHamayanの制作の日々を綴ります。

  夏生ちゃんと澤子の店で度々会うようになった。少しずつ具体的なことが決まっていく。夏生ちゃんと会うたびに、気持ちが元気になる。エネルギーが溢れている。時折見せる満面の笑みが全ての不安を吹き飛ばす。澤子が気遣って、美味しいコーヒーを淹れてくれる。
  最初、私は夏生ちゃんと二人旅のイメージでいたけれど、どうやら友達が二人一緒に行くらしい。それで、私も美代ちゃんを誘った。美代ちゃんは息子たちのピアノの先生だ。とてもしっかり者のお母さんであり、どこか少女っぽさを残すかわいい人。私とは全く違うタイプの人だが、なんだかウマが合う。2年前、突然スペインに行くことにした私についてきて、ハードなスケジュールにくたびれることもなかった。今度どっか行くなら、必ず誘ってと言ってくれてたし。美代ちゃんは二つ返事だった。
  夏生ちゃんがLINEでグループを作ってくれたので、会ったことがないメンバーともやり取りができるようになった。2月に行くことはすぐに決まったけれど、航空券がなんだか高い。5泊7日で計画していた私の頭に、ふと湧いてきた記憶。6泊から安くなる。6泊8日で検索すると、2万円安くなったので決定。(それでも私には高く感じた。)仕事を休んで行くメンバーのことを考えると、お金より合理的な時間を重視して選ぶのが妥当だろう。まあ、仕方ない。アジアをあっちこっち回ってフランスにたどり着くのは体力も消耗する。

  次はホテルだ。夏生ちゃんとネットで探した。私はカルチェラタンが良いと言った。カルチェラタンはソルボンヌやボザールなどの大学がある学生街。人気があるので昔よりホテル代は高め。私が30年前に初めて泊まったのもこの辺り。朝市が立ち、賑やかだ。しつこく探しているうちに、なかなかのコストパフォーマンスのホテルを発見。古いホテルをペンキで塗って新しく見せている感はあるけど、立地は最高。潔い夏生ちゃんはここにしようと即決即断。予約を入れた。バスタブはないけど、二部屋のうち一つにはシャワーがついてるし。ところが、その数日後、美代ちゃんの家にパスポートのコピーを貰いに行ったら、美代ちゃんがアパートを見つけた。いわゆる民泊。生活用品は揃っている。6人まで泊まれる。値段は無茶苦茶安い。マレ地区。今、人気の地域だ。バスタブもあるし、設備はこっちが良いのかな?お世話してくれる人がいないから、きっとお湯が出ないとか、なんだかんだと問題はあるだろうけど、5人の一体感は二部屋のホテルよりあるな、と感じた。美代ちゃんと、キャンセルもできるからとりあえず予約入れちゃえ‼️とクリック。後で、夏生ちゃんに話したら、自分もカルチェラタンよりマレ地区が良いと人に聞いたというから、カルチェラタンのホテルをキャンセルした。

  暑い季節が過ぎようとしていた。

  美代ちゃんと澤子の店でうだうだと話している時に、美智子さんが現れた。美智子さんはうちの旦那の食堂によく来てくれるお客様。食堂が似合わないほど品がいい。昔から顔をあわせる機会が多いけど、個人的なことを話したことはない。ただ、一度、「何人か集まったら、片瀬さんは旅行に同行してくれるの?」と尋ねられたことがあったことを思い出した。旦那から今、澤子の店に私がいることを聞いて、初めて来てみたのだという。6人用のアパートでメンバーは今5人。「2月にフランスに行くんですけど。」と口をついて出た。美代ちゃんがすぐに私が言いたいことを察して
「美智子さん、一緒に行きません?6人用のアパート借りたんですけど、今、メンバー5人なんですよ。」と言う。驚いたことに、美智子さんは、迷うこともなく「え?いいの?」と即決。夏生ちゃんにこのことを話した。大歓迎してくれた。素敵なマダムが一緒だったら、レストランでバカにされることもないと言う。いやいや、夏生ちゃんだけでも十分バカにされないよ。

  これでメンバー6人が揃った。
  パリジェンヌの卵たちである。

   それぞれがガイドブックやインターネットで情報集めて楽しんでいた。夏生ちゃんは美味しそうな写真に付箋紙を山程貼り付けていた。

  季節はすっかり秋。

  そして、 初顔合わせの2日前、パリ同時多発テロが起こった。

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