Hamayanと猫 絵を描く暮らし -5ページ目

Hamayanと猫 絵を描く暮らし

猫と暮らすHamayanの制作の日々を綴ります。

  機内での時間が苦痛だった頃もあった。眠ろうとしても眠れない。体がイライラしてくる。でも、20年前、1歳の誕生日を迎えたばかりの長男を連れて旅行に出た時、機内で寅さんシリーズを観た。「あんたはテレビが育てた。」と母がいうほどのテレビっ子だった私だったが、子育てに振り回され、ろくにテレビでを見ることができてなかった。そうか、ゆっくり何時間も映画を見ることができる。うちの子供は、乗り物に乗ると爆睡する。なんて幸せ‼️  映画さえ観てれば、この時間は決して退屈なものではない!と、いうことで、今回も映画をチェック。日本語吹き替えで見ることができるものの中に、見たかった「マイ インターン」があった。アンハサウェイとロバートデニーロ。まずはこれだな。夏生ちゃんは「ヒーロー」を見ている。次は夏生ちゃんの真似して「ヒーロー」その次は「007」で、疲れてウトウト。もちろん、飲み物と食事は逃さず頂く。マンゴーケーキ、美味しかった。

  
  シャルルドゴール空港に到着した。荷物を取りに行くのに、長くモノレールに乗った。10番出口にでた。なんて簡単に出口にたどり着くのか。
  30年前、丸い建物だけだったこの空港で、出口にたどり着くのに2時間かかった。素敵なデザインの建物だった。でも、中央にある宇宙的なエスカレーターはどれに乗っても一階から三階へ、みたいな複雑な作り。若く経験不足の私。生まれて初めて飛行機に乗り、そして外国の地を踏んだ。パニック。アルバイト代をつぎ込んだフランス語教室の成果はみえなかった。ただ、何もかも自力でやり抜くと決めていた。根性だけが私の力だった。
  10番出口に頼んだ旅行会社の迎えの人はまだ来ていないみたい。とりあえず動かないでいよう。ちょっと外を見てみた。ちゃんと秩序のある数字が並んでいるから、仮設ではないよね、ここ。確認してまた中に入り、ちょっとだけ不安な気持ちで、迎えに来るはずの秋口さんを待った。
  10分くらいで秋口さんは現れた。とても優しそうな印象。話し方も上品。車はすぐ近くにあった。フリーの地図をすかさず頂いて後についていく。6人分のスーツケースを立体ジグソーパズルのように詰め込んで乗り込む。いざ、パリ市内へ。飛行機が降り立ったときはまだ、少し明るかったが、このころには夜景となっていた。少し離れたところから見るシャルルドゴール空港は、とても大きかった。秋口さんが、いろいろと教えてくれる。おしゃべりついでに、「いつからパリに住んでいるんですか?」「何がきっかけだパリで働いているのですか?」「出身はどちらですか?」などと質問攻めにする私に「身上調査みたいですね。」と苦笑する。「いや、仲良くなって、よくしてもらおうという魂胆です。」と答えたら、「あの、遠くでついたり消えたりしているライトは、エッフェル塔ですよ。」なんて、お喋りしてくれるようになった。「テロの影響はありますか?」の質問には、「日本のマスコミの報道は、風評被害を生み出しました。」との答え。日本人観光客は、とても少なくなったらしい。そういえば、空港でも会わなかったなぁ。
  

  懐かしいパリ市内へと車は入っていく。古いアパルトマンが立ち並び、道の両側には、不思議なほど隙間なく車が駐車されている。あまりにギチギチのスペースに駐車しようとしている車を見つけて、美代ちゃんが「無理無理、そこに入れるつもりなの?当たる、当たる、当たるってば‼️」と注意する。暗くなった街には、楽しそうに若者たちが繰り出している。遠くに救急車のサイレンの音が聞こえる。都会の音だ。似たような交差点をたくさん通り過ぎる。角には賑やかなカフェがある。道にテーブルや椅子が並んでいて、パリらしさを演出している。秋口さんの車が止まる。どうやら、アパートの鍵を受け取る場所に着いたらしい。ここで、秋口さんは神様になる。
  私はアパートの鍵を小さな事務所みたいなところで受け取るものだと思い込んでいた。送られてきていた書類に書いてあった建物の入り口の暗証番号や、部屋の番号も理解していた。そこで、契約的なことをして、残金を払い、鍵を受け取る。そして、アパートとへ向かうというシナリオが頭の中にあった。ところがそこには、小さなロッカーが何十も並んでいるだけだった。秋口さんは私たちがよく理解していないことにすぐ気づき、車から降りてきて、すべてを説明しながら教えてくれた。部屋の番号だと思い込んでいた私たちのロッカーの番号。開けると鍵が入っている。秋口さんは私が握りしめていた書類に目を通し、「ここに残金を入れるみたいです。」と教えてくれた。えー⁉︎ここに大金を入れちゃって大丈夫なのかしら。車から降りてきたの私と美代ちゃん。不安いっぱい。「証拠写真撮っときましょう。」と秋口さん。ロッカーと現金を、撮影。彼がいなければ、そこで軽く1時間は迷い考えなければならなかっただろう。アパートの鍵を握りしめて移動。想像していたよりは、ダウンタウン的な雰囲気の通りにアパートの入り口はあった。あずき色の大きな扉。古くていかにもパリらしい。秋口さんは、車から荷物を降ろし、車をロックすると、なんと、アパートの部屋(4階、しかも階段)まで、スーツケースを運んでくれた。この辺りでは、もう、お父さん状態。感謝してもしきれない。ハグしたい気分だったが、迷惑だろうと思って我慢。帰りも是非お願いしたいと気持ちを伝え、別れた。

  アパートのドアを入ると小さなホール。左にキッチン。左前にシングルベッドが2つ並ぶ広い落ち着いた寝室。ここには美智子さんと美代ちゃんが。右手前にトイレ。右奥には広い居間。お風呂のドアは居間にある。6人用の大きなダイニングテーブル。暖炉の上にはテレビ。その両脇にはしっかりしたソファーベッド。これは厚子ちゃんと西川さん。その奥にはダブルベットの寝室。ここには夏生ちゃんと私。夏生ちゃんと私はメンバーの中で華奢な方ではないけれど、十分にゆっくり寝れるほどの大きなベット。みんな、自分のテリトリーで荷物を広げたり。私は、アパートの説明書を見ながら、フリーWifiをつなげ、アランにSkypeでメッセージを送る。アランからすぐに返信。今から、セーヌ川の遊覧クルーズに出かけるけど、一緒に行かない?と誘われる。夜8時を過ぎていた。機内食を完食した私たちだけど、お腹が空いていた。何か食べに出かけるからと、断る。
  
  6人で外に出た。荷物を置いて身軽に街に出るとテンションが上がる。西に歩いてているつもりだった。後でわかったけど、東に向かっていた。同時多発テロのあった方向だ。みんなには言わなかった。私は方向音痴ではない。(小学三年生の時にオリエンテーリングの県大会で大人も含めて3位になってから、自分ではそう思っている)地図も得意だ。でも、ヨーロッパではわたしの方位磁石は針がくるくると回る。放射線状に街づくりするなんて、どういう頭の構造だろう。夜は太陽も見えないので、ますます狂う。わたしが住んでる町は北に山、南に有明海。道路はほとんどが東西南北に伸びている。だから、場所の説明に東西南北を使う人が多い。県外から来た人からは、わかりにくいとよく言われる。そんな私たちにパリは難しい。
  小さなレストランがぽちぽちとある。ほとんどがイタリアン。ピザやパスタ。なんか、イメージ違うけどなぁ、と思いながらも、そう遠くないレストランに入る。そこはちょっと若者向けだけど、とても感じのいい青年が接客してくれた。大きな素敵なテーブルに座る。パリのレストランで6人で初食事。ますます気持ちは上がる。ローストしたチキンが乗ったサラダやソーセージを注文した。フランスのソーセージは素晴らしく美味しい。きっと、ドイツのはもっと美味しいんだろうなぁ。ワインも頼んで、気分は最高。帰りには小さなアラブ系の人がやってる小さなスーパーみたいなところで買い物。私はヨーグルトやピスタチオの入ったチョコレートを買う。朝用に牛乳やフルーツも。みんな楽しそう。お店の人は口数が少なそうな人だったけど、牛乳でないボトルを握っている私たちを見かねて、話しかけてきた。とても親切。1㎜くらい、パリジェンヌみたいな気分のお買い物タイム。

  私たち登りアパルトマンに戻り、歪んだ螺旋階段を登り、部屋にたどり着く。代わる代わるお風呂に入る。ん?お湯が出ない‼️大丈夫、これは時間がかかるだけだった。時々湯沸かし器が止まる。つける。止まる。つける。そのうち、なんとかなった。

 ほらほら、パリっぽい生活が始まった。
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