Hamayanと猫 絵を描く暮らし -4ページ目

Hamayanと猫 絵を描く暮らし

猫と暮らすHamayanの制作の日々を綴ります。

  火曜日の朝、  案の定、朝早く目がさめる。みんな、静かな寝息。そっと抜け出して、歪んだ階段を降り、アパルトマンの中庭に出る。空はまだ薄暗い。四方を古い建物が囲む。パリの中心では、建物の高さ18メートルに設定されてたと聞いたことがある。だから、ちょっとずつ形は違っても高さは似たり寄ったり。高い塀に囲まれたような四角い中庭は妙な安心感がある。いくつかの窓には明かりが灯り、日常の朝を迎えている人の音が聞こえる。それぞれの建物への入り口には、大きな鉢植えがおいてある。その後ろから、一匹の猫が私を見ていた。黒くて毛が長い。あまり大柄ではないから、雌かな?おいで、と声をかけると、遠回りをしながら近づいてきた。指先を鼻面に近づけると、匂いを嗅いでからスリスリ。「ここに住んでるの?」話しかけながらしばらく彼女と戯れた。部屋に戻るとみんな起き出してきた。順番に身支度を整える。アパルトマンの近くのパン屋さんまで行ってみた。美代ちゃん、フランス語でお買い物。奥さんが日本人という男の人に話しかけられた。レンタル自転車の人?とても優しい人。みんな、思い思いのパンやら、サラダを買った。私はクロワッサン。思い出のクロワッサン。

  またまた昔の話だけれど、30年前、アパルトマン生活を始めた私は毎朝近くのパン屋でクロワッサンを買おうとした。けれど、発音が下手なので意地悪して無視された。頭にきた私は、日本語学校の学生を家庭教師に雇い、猛特訓。一カ月後、見事に意地悪パン屋でクロワッサンを買った。おばちゃんも私のしつこさに苦笑して拍手。やっと手に入れたクロワッサンは近くの小さな広場で鳩とお祝いして食べた。

  部屋に戻り私は今日の予定を確認。いつの間にかカフェオーレやら、フルーツ、ヨーグルト、焼きたてのパン、サラダがテーブルいっぱいに並んでいた。アランからマルシェに行くけど、一緒にどう?と誘いがきたが断る。だって予定はパンパン。2時半にモンパルナス駅で待ち合わせをして電話を切る。  
  クロワッサンを食べる。ああ、美味しい。あれ、厚子ちゃんは梅昆布茶。大和撫子。麦茶の香りも漂って。日本オタクのパリジェンヌの部屋。

   着替えをしてさあ、いざ、パリの街へ。

   私はみんなを驚かせたかった。今、故郷から遠く離れた花の都にいることを、実感し、感動して欲しかった。だから、レパビュリックのメトロの駅から地下に潜った。交互に自動販売機でカルネという10枚セットの切符を買う。ここで、美代ちゃんはあっという間によくわからない表示に従いながら、クレジットカードでの購入方法をマスター。流石である。地下鉄を乗り継いで、目的地に着く。

  
  暗くて臭い駅から階段で上に出ると、目の前に真っ青な空に縁取られた凱旋門が突然現れる。テレビや雑誌で見ていたものが突然目の前に現れる感動。期待通りのみんなの歓声に私も大満足。シャンゼリゼ通りの端っこから凱旋門を見上げたり写真撮ったり。振り返ると、あれ?夏生ちゃん、何してるの?署名を求めるような女子学生に囲まれてる?中学生か高校生くらい。やばい‼️やばいよ、その子たち‼️頭によぎって動く直前、一人の老婦人が彼女たちを追い払い、夏生ちゃんに話しかけていた。人が良い夏生ちゃんはポカンとしていた。寄付をしようとしていたの、と言う。状況に戸惑い、慌ててお札の塊を道路に落としてしまった夏生ちゃん。怪しい子供達は、老婦人に言葉のお陰で、近づいてはこなかった。お金を拾い集めながら、しつこく説明するのはやめにしようと思った。あまりにも、この洗礼は早かった。今から始まる旅に警戒心は邪魔だ。私の注意力も鈍ってる。ただ、この老婦人に出会えたことに感謝。久しぶりのフランス語で感謝の気持ちを伝えた。
 
  それから、シャンゼリゼ大通りを東に歩き、セーヌ川クルーズへと向かう。アーケードには入り、ランジェリーショップや靴屋をみたり。途中から右に曲がり、セーヌ川へと出る。美しい。そしてバトームーシュの乗り場へ。小一時間待つことになる。川べりから見るパリの風景。青い空に白い雲の塊が泳いでいる。いろんな国の人々が船を待つ。日本人はいない。これこそが珍しい。

  船は動き始めた。もちろん先頭に陣取る。中国人の団体にも負けない。日本のおばちゃんの底力でにこやかに居座る。上品で謙虚な美智子さんにも、そこから動かぬように強く勧める。澄んだ空気。川面を渡る風。左にはコンコルド広場、ルーブル美術館、右にはアンヴァリッド、オルセー美術館が見える。ポン・ヌフの下を通る。「この先、シテ島が正面に見えて、左に進んで、サンルイ島の向こうで回って、Notre-Dame寺院を後ろから見れる。すごく綺麗なんだよ。」自慢げに説明していたら、なんてこと❕船はシテ島見えてないのにUターン❕ふざけないで!こんなのバトームーシュじゃない。最後にパリを訪れて、数年の間に、ルートが変わったの?いや、ネットで見たときは同じだったの。むちゃくちゃな文句の言葉を並べ立てている間に、船は出発地点に戻ってくる。このまま終わったら、金返せだ!と憤慨。でもちゃんとそこを通り過ぎて、西に向かう。セレブな16区を右にみて、左にはエッフェル塔、ビル群。中州が現れ、その端っこにはオリジナルの自由の女神。その下ではパリジャンたちがランニング。自由の女神の前で船は動きを止める。素敵な撮影スポット。
  船上でのゆったりした時間。風が少し寒い。ビル群を見ていて、30年前ベビーシッターしに来たのはこのあたりだったな、とか、10年前、息子とエッフェル塔の上から家に電話をかけたな、とか、思い出が蘇る。
  

  船着き場に戻った私たちは、歩いて橋を渡り、アンヴァリッドへ向かう。そこからメトロに乗るためだ。ナポレオンズが眠るアンヴァリッドはキンキンキラキラの建物。この頃になると、厚子ちゃんと西川さんはメトロの駅を見つける達人。遠いところにあるⓂ️を見つける。マクドナルドではない。メトロでモンパルナス駅に向かう。三時半のTGVでボルドーに向かう予定。ハードなスケジュールである。アランとの待ち合わせは2時半過ぎ。時間があるし、お腹も空いた。駅のそばの通りのレストランに入って20ユーロくらいのmenuを注文する。このメインはたまがった。牛の脳か?変わった味。最初は美味しかったけど、すぐ飽きた。量も多いよう。生暖かいもつみたい。
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でも、デザートは美味しかった。日本人にはぴったり。小さなスウィーツが3種類。カフェノアールと頂く。完璧な締め。

   満足して、さあ、駅へ向かおう。アランもそろそろ来ているかも。