何年か前、ある筆記具のイベントに参加した時、後ろに並んでいる女子の会話に衝撃を受けました。

「今日はあの子に何飲ませてるの?ふふふ。インク子ちゃんって、一体何本くらい持ってるの?」

「もうあの子可愛くってさぁ、スーベのホワイト。こないだインク買いに台湾に行ったんだけど、その時買ったやつ。それほどでもないよ。そうだなー、100本は超えたかな?でも結構タミヤだよ。大したことないよー。」

インク帳見せて!すっごーい!」

何だこの会話は!

タミヤ?パクトラタミヤ?何?田宮模型が万年筆のインク出してる?かつては改造人形コンテストで入賞した私、血が騒ぎました。その頃集めたタミヤカラーもせいぜい20色程度なのに!

何だ100本って!!

流石に今となれば理解できる会話ですが、興味がない人が聞いても何のことかサッパリ理解できないことでしょう。その時、頭に残ったこれらの単語を学ぶのに、そうは時間が掛かりませんでしたけどね。SNSのタイムラインを追ってるだけで、すごい会話がされてますから。

インクブームとも呼べる今、万年筆で何を書くかという行為に、何のインクで書くかという趣向が完全に加わり、各社、各地方のご当地インクやイベント会場限定物など、痒いところの仕掛けに乗って楽しんでいる人たちがたくさん居る事でしょう。その勢いは、年々、益々増しています。

気がついたら、知らない間に、私も沼の入り口案内の看板の前に立っていました。まだ引き返せると思いますが、まぁ、引き返す理由も無く…。


インク、果てしないなー。