書き出し小説 81〜90日目 | enjoy Clover

enjoy Clover

三つ葉を伝える路上詩人じゅんぺいのブログです。
日常の喜びを中心に日々の出来事を書いていきます。

書き出し小説 81〜90日目


81日目


今朝起きたら、右手に見知らぬサイコロを握っていた。手のひらから転げ落ちたサイコロは、昼過ぎになる今も出る目を決めかねているようにずっとクルクル回っている。


82日目


何が人生を変えるきっかけになるかは分からないとは頭では分かっていたが、まさか本当に餃子の皮一枚に人生を狂わされるとは想像していなかった。


83日目


仕事仲間としては頼りになるけど、友達には絶対になりたくない奴。彼に対する最初の印象はそうだった。


84日目


自分が他の子と何が違うのか分からなかった。だけど祖母も母も、何かある度に「私たちは魔女の一族だから」と口を揃えてそう言った。


85日目


これも接待だ。そう自分に言い聞かせながら、僕はソーラン節を踊る準備を始めた。


86日目


一生大切にするつもりで買った物よりも、使い捨てるつもりで買った物の方が意外と長く使えたりする。人間関係でも似たようなものだ。


87日目


自分の薄っぺらさを恥じる必要はない。どんなに心に響く名言を書いた本だって、その一文が書いてある紙自体は薄っぺらいものだ。


88日目


子供の頃は、どうしてみんな鏡をちゃんと使わないのか不思議に思っていた。鏡を覗き込むだけで、誰もその向こう側へ入ろうとしない。小学校に入って23年経ってようやく分かった。誰一人、鏡の本当の使い方を知らないのだ。


89日目


太陽系の惑星の中で、どうして地球にだけ生命が栄えたと思う?地球だけ、特別にそう作ったからだよ。


90日目


この本はいつも自分で戻ってきた。学校の机に置きっぱなしにしても、電車の荷物棚に忘れても。そしてその度に、新しいページが追加されて帰ってくる。


#書き出し小説