23.「ギブアンドテイク」
"
学校の屋上で対峙する二人。
転校生の高峰と、同じクラスの小松。
「さあ、早く君の石を出してもらおうか。転校生の高峰くん。」
「石?一体なんのことだ?」
「とぼけても無駄さ。君も持っているんだろう?このアビリティストーンを!」
小松、ポケットから石を取り出す。
「このアビリティストーンを持つものは能力者になれる。君もこのアビリティストーンを巡る戦いに巻き込まれたんだろう?」
「…お前もそうだったのか。しかしお前にこの石を渡すわけにはいかない。」
「君を倒してでも奪ってやるよ。僕の能力《ギブアンドテイク》の力を使ってね。」
小松、右手に持った石を空にかざす。
「《ギブアンドテイク》?一体どんな能力なんだ?」
「なるほど、君の能力名は《ショック》か。」
「お前、どうして教えてもないのに俺の能力名を?」
「これが僕の能力《ギブアンドテイク》さ。自分が先に与えたものと同等のものを、相手から強制的に奪うことができる能力!」
「それで俺の能力名が分かったのか。ということは、今ので《ショック》がどんな能力かも知られてしまう。」
「なるほど、石を握っているとその拳から衝撃波を放つことができる能力か。」
「しまった!能力を知られてしまったら戦いが不利になってしまう。」
小松、肩を落として地面に手を付く。
「僕の能力よりも強くてカッコいいじゃないか…。」
「さっそくショック受けてるんじゃねーよ!!」
立ち上がる小松。
「でも、僕のこの《ギブアンドテイク》を使えば、君の石を奪うことなんて簡単さ。」
小松、高峰に近づき持っている石を無理やり高峰のポケットの中に入れる。
「何をするんだ?やめろ。なんてカッコ悪い攻撃なんだ。」
小松、再び高峰から離れる。
「ふっふっふ…。僕は今君のポケットに僕のアビリティストーンを入れた。ということは…。」
「なんだ?身体が勝手に動く…。」
高峰、操られるように小松の方へ近づいていく。
「《ギブアンドテイク》の能力によって、僕は君から…」
高峰、小松に石を渡してしまう。
「しまった!俺のアビリティストーンが!」
小松、奪った石を握り勝ち誇ったように空にかざす。
「さっき与えた《ギブアンドテイク》の石を奪い返すことができる!」
「意味ねーじゃねーか!!」
「だってこれ同等のものしか奪えない能力なんだもん。僕の能力ぶっちゃけ糞みたいなもんだし。」
「ぶっちゃけるなよ!!」
「だけど戦いは能力ではなく結局強い者が勝つんだ!」
拳を挙げて高峰の方へ走って近づいていく小松。
「しまった!こいつまさか能力に頼らなくても元から強いやつだったのか?」
小松が勢いよく高峰の頬を殴る。
「うお!ちょっと痛い!」
殴られた頬を手で抑える高峰。
「うわー!!痛いーー!!」
なぜか尻もちをついて高峰以上に痛がる小松。
「どうした?一体何が起きたんだ?」
「なかなかやるな。まさか《ギブアンドテイク》の能力で俺にも同じ痛みを与えるとは。」
「それ俺がやったんじゃねーよ!!しかもお前めちゃくちゃ打たれ弱いじゃないか!」
小松はそっと立ち上がる。
「君には負けたよ。ルールに従って、僕のこの《ギブアンドテイク》の石を君に託そう。」
「絶対いらねー!!!」
「「どうも、ありがとうございました!!!」」
"
「どうだ?漫才台本読み直したか?」
「はい!我ながら天才だと思います。なんでお客さんこれがウケないんだろう?」
「お前が面白いネタをギブできてないからだよ!」