• 中国・三澳2号原子炉圧力容器が現地到着
  • カナダ・ブルース3号機の大改修ステージが記録的な速さで完了
  • 50周年記念を迎えたブラウンズフェリー、2050年代への活路を探る
  • モバイルニュークリア社とペレグリン・タービンが提携を発表
  • ガラスセルで溶融塩原子炉の内部を垣間見る
  • 調査 米国成人の50%以上が原子力利用拡大を支持
  • ホワイトハウス、エネルギー許可改正への支持を強化
  • パリセーズの元技術者が運転再開のスピードに懸念
  • データセンターへの電力供給でSMRが大きな役割を果たす可能性
  • 米FERC、データセンターに関する原子力発電所のPJM契約の詳細情報を求める
  • IAEAと中国、若手専門家を対象に原子力安全に関する研修を実施
  • 心臓アミロイドーシスのPETトレーサーがFDAの「画期的」承認受け
     

中国・三澳2号原子炉圧力容器が現地到着

三澳原子力発電所2号機の原子炉圧力容器が中国浙江省の建設現場に到着したと中広核(CGN)蒼南核電有限公司が発表した。上海電気核電設備有限公司が製造した原子炉容器は、7/30に上海を出発し、4日間の海上輸送を経て8/2に三澳サイトに到着した。2日間の水路整備やその他の準備作業の後、8/4に岸壁で水切りと吊り上げ作業が行われた。

三澳サイトで水切りされる原子炉圧力容器の一部(訳注:上部原子炉容器の模様)(画像:CGN)

 

カナダ・ブルース3号機の大改修ステージが記録的な速さで完了

カナダのブルース3号機での一連の原子炉取り外し工事は、以前のプロジェクトで得た経験を活かして計画より早く完了した。カランドリア管取り外し作業は、CANDU大改修工事での新記録を樹立した。ブルース3号機は、大規模主機取替工事(MCR)を実施する2ユニット目。この工事では、蒸気発生器、圧力管、カランドリア管、フィーダー管などの原子炉主機の取り外しと交換等により、原子炉の運転寿命を30~35年延長する。オンタリオ州ブルース施設では合計6ユニットの大改修を予定している。この工事を初めて実施したブルース6号機は、2023年9月に営業運転を再開している。

3号機は、2023年3月にMCR工事開始に向け運転を停止。フィーダー管、圧力管、カランドリア管、その他の内部部品の取り外しには9か月かかった。480本のカランドリア管の取り外しは、予定より11日早い7/26に完了。

(画像:ブルース・パワー)

 

50周年記念を迎えたブラウンズフェリー、2050年代への活路を探る

米国アラバマ州のブラウンズフェリー原子力発電所は、100万キロワット以上の沸騰水型原子炉を3基有する世界初の原子力発電所であり、運転開始から50周年を迎えた。ブラウンズフェリー原発は、1975年に火災という初期の難題に遭遇したが、今ではテネシー川流域開発公社(TVA)の電力の約20%を供給する発電所となった。TVAは、ブラウンズフェリーが2056年まで運転できるよう、2度目の運転認可の20年延長(SLR)を望んでいる。

TVA / ブラウンズフェリー原子力発電所はアラバマ州アセンズ近郊のテネシー川沿いにある。1号炉は1974/8/1に営運転を開始。(画像:Chattanooga Times Free Press)

 

モバイルニュークリア社とペレグリン・タービンが提携を発表

モバイルニュークリア・エナジー (MNE)社 は、ペレグリン・タービン・テクノロジーズ (PTT)社 と、MNEのMN-1 モバイル・ マイクロリアクター・システムとPTTの超臨界二酸化炭素エネルギー変換システムおよび高度な熱交換器技術との統合に向け提携する。MNEは、軍等の政府機関に即応性、耐久性のあるモジュール式のエネルギー生成機能を提供するため、真に可搬性があり、安全、持続可能、安価なマイクロ原子炉を開発・展開することを目指している。MN-1は、可動性を重視して設計されたマイクロ原子炉で、陸海空での輸送が可能なモジュールシステム。オプションで統合して輸送中に動作させ、推進システム、指向性エネルギー兵器等に、「動きながら」高出力エネルギーを供給できる。MNE と PTT の原子力事業会社PTT NESは、PTT NES の特許取得済みの超臨界二酸化炭素 (sCO2) エネルギー変換システム、熱適合型熱交換器技術、高温ヘリウム ブロワー、磁気トルク カップリングを MNE の MN-1 に統合する共同作業を計画している。 sCO2 システムは、基本的に閉ループ熱エンジンであり、燃料に依存しない。熱出力1,000kW、電気出力350kWを生成するコア電力モジュールは、マイクロ炉とsCO2 タービン発電機をベースライン機能として搭載した標準的な20フィート (6m) の輸送コンテナと同等のサイズである。

MN-1システムは輸送コンテナに収まる(画像:モバイルニュークリア)

 

ガラスセルで溶融塩原子炉の内部を垣間見る

オークリッジ国立研究所 (ORNL) が作成した特注のガラス試験セルにより、研究者は溶融塩炉内でガスがどのように挙動するかを観察し、溶融塩溶液で発生する複雑な化学反応を調査できるようになった。現在設計が進められている一部の原子炉は、液体燃料で稼働し、核分裂性物質は原子炉の冷却材としても機能する溶融塩溶液に直接溶解されている。しかし、核反応と化学反応により溶融塩からガスが泡立ち、原子炉の核特性と熱流力特性に影響を及ぼす可能性がある。これらの効果を調査するために、ORNLの研究者は、最大1リットルの液体溶融塩を保持できる特注のガラス製試験セルを設計・開発した。研究者は、小さなヘリウムとクリプトンの泡をセルに注入し、溶融塩カラムの中をどのように移動するかを観察し、高速カメラを使用してガスバブルの速度、サイズ分布、および隣接する泡との相互作用を測定することに成功した。実験から得られた知見は、溶融塩燃料システムのシミュレーション ツールの改善と検証に使用される。

科学実験用ガラス吹き工のカルロス・ロドリゲス・フローレス氏がガラスセルを製作(画像:ORNL)

溶融塩カラム内の希ガスの挙動を可視化するガラス試験セル(画像:ORNL)

DOEプレス:

https://www.energy.gov/ne/articles/national-lab-creates-glass-test-cell-peek-inside-molten-salt-reactors 

 

調査 米国成人の50%以上が原子力利用拡大を支持

ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国の成人の過半数が原子力の拡大を支持しており、回答者の56%が原子力発電所の増設に賛成している。また、41%の回答者が連邦政府は原子力発電を奨励すべきだと考えている。

カリフォルニア州で唯一運転中の原子力発電所であるディアブロ・キャニオンは、2025年の廃止予定後も運転延長を目指している。(ジョージ・ローズ/ゲッティイメージズ)

 

ホワイトハウス、エネルギー許可改正への支持を強化

ホワイトハウスは8/2、バイデン政権にとってエネルギー許可法案が引き続き優先事項であり、インフラ・プロジェクトが「迅速かつ効率的に建設され、地域社会の意見を反映し、環境と公衆衛生を守る」ことを確保したいと表明した。ホワイトハウスは、上院で審議中の許認可法案を検討中であり、"生産的な議論を歓迎し続ける "ことを確認した。

2021年、ホワイトハウス外でのジョー・バイデン大統領とウェストバージニア州選出ジョー・マンチン上院議員。ジャクリーン・マーティン/AP

 

パリセーズの元技術者が運転再開のスピードに懸念

ミシガン州にあるパリセーズ原子力発電所は、閉鎖前の段階で安全基準を下回っていたため、すぐに運転を再開することはできないと、2006年から2013年まで同発電所の技術ディレクターを務めたアラン・ブラインド氏は主張する。NRC(原子力規制委員会)は、原発が閉鎖間近であることが分かっていたので免除を認めていたのだ。ブラインド氏は、これらの安全基準には、パイプの断熱材の破損による冷却システムの詰まり防止、耐震防護、火災リスクの軽減などが含まれると述べ、退職後も原子力発電所の免除要請をウォッチしてきたと付け加えた。「NRCがパリセーズの運転再開を許可する前に、一般安全問題(GSI)への対処を求めないことを心配している」とブラインド氏は言う。

2011/3/21、メリーランド州ロックビルの本部ビルに掲げられたNRCの看板 REUTERS/ラリー・ダウニング/資料写真

 

データセンターへの電力供給でSMRが大きな役割を果たす可能性

大手ハイテク企業は、AIによって電力需要が高まる中、データセンター向けの原子力を模索しており、小型モジュール式原子炉(SMR)が潜在的な解決策をオファーしている状況にある。原子力はクリーンで信頼性の高いエネルギーを提供するが、規制上のハードル、高コスト、廃棄物処理などの課題がある。SMRは、早ければ2020年代後半には配備可能になると予想されている。

 

米FERC、データセンターに関する原子力発電所のPJM契約の詳細情報を求める

米国最大の送配電事業者PJMインターコネクションは、ペンシルバニア州のサスケハナ原子力発電所がデータセンターをサポートするために、共同立地負荷を30万から48万kWに増加させるという相互接続サービス契約(ISA)の修正について、連邦エネルギー規制委員会(FERC)から不備の通知書を受け取った。FERCによると、PJMは、信頼性の高い電力系統運用を支援することを意図した条項への不適合を正当化し、「行為に対する期待を明確にし、修正ISAの下での権利と義務を明確に当事者に提供しなければならない」という。

(画像:PJM IMM)

 

IAEAと中国、若手専門家を対象に原子力安全に関する研修を実施

世界30カ国の規制当局の若手専門家がこのほど、IAEA(国際原子力機関)と中国国家原子能機構(CAEA)が実施した原子力安全に関する能力向上を目的とした研修に参加した。「私たちの目標は、原子力の円滑な拡大を支える環境を育成することだ」とIAEA技術協力局のジン・チャン課長は言う。「私たちIAEAは、情報共有を強化し、各国間のネットワーキングを奨励し、小型モジュール炉を含むインフラの仕様に取り組むことを約束する」。

研修コースの参加者が専門家の講義に出席する。(写真:J. マクドナルド/IAEA)

 

心臓アミロイドーシスのPETトレーサーがFDAの「画期的」承認受け

アトララス(Attralus)社は、心臓アミロイドーシスの画像診断用PET放射性トレーサーであるヨウ素124(I-124)エブザミチド(AT-01)について、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬の指定を受けた。FDAは、200人以上の試験参加者を対象にI-124エブザミチドPETの使用を評価したアトララスがスポンサーの医師主導の試験の臨床データに基づいて指定を与えたと同社は述べている。心臓アミロイドーシスは、アミロイドタンパク質が誤って折り畳まれて心筋に蓄積することで発症する。これにより心臓機能が制限され、心不全や死に至る可能性がある。現在、心臓アミロイドーシスに対して FDA 承認の画像診断薬は存在しないとアトララス社は指摘している。