• NRCがヘルメス2実証プラントの安全審査を終了
  • インド、SMR開発を国家予算に盛り込み
  • ディアブロ・キャニオン原子力発電所の透明性を求める議員たち
  • フラマトム、スロバキアのVVER原子炉に燃料を供給
  • 日英が核融合に関する協力を強化
  • 液体リチウムが核融合炉の可能性を示す
  • ホルテック社、ピルグリムの廃水放出をめぐって上訴を検討中
  • カナダ、タイの使用済ラジウム放射線源をがん治療に利用へ
  • ノーススターとBWXTがAc-225生産契約を締結
  • タウPETで引退したアスリートの灰白質萎縮を特定
     

NRCがヘルメス2実証プラントの安全審査を終了

米国テネシー州オークリッジにあるケイロス・パワー社の「ヘルメス2」実証施設のNRC(原子力規制委員会)による最終安全評価書(FSER)が発行され、建設許可発給の可能性が見えてきた。建設されれば、この施設の2基の3万5000キロワット熱出力フッ化物塩冷却高温炉(KP-FHR)からの生成エネルギーを共有することになる。

ケイロス・パワーは、先進炉KP-FHR技術を使用した原子力プラントを開発中。提供:ケイロス・パワー

 

インド、SMR開発を国家予算に盛り込み

インド政府は、2024~25年度予算発表で、同国の将来のエネルギーミックスで原子力が重要な役割を果たすことを認識し、民間部門と提携して小型モジュール炉(SMR)を開発する計画を発表した。この予算は、ニルマラ・シタラマン財務大臣によって議会に提出され、同大臣は、2047年までにインドを完全な先進国にするという政府の戦略である「先進インド構想(ヴィクシット・バーラト)」のエネルギーミックスにおいて、原子力エネルギーが「非常に重要な」部分を占めると予想されていると述べた。

7/23の予算発表後の記者会見に臨むニルマラ・シタラマン財務・企業担当大臣(写真:プレス情報局)

日本語情報:

https://www.jaif.or.jp/journal/oversea/24056.html 

関連報道:

https://www.powermag.com/india-pledges-support-for-nuclear-coal-and-pumped-storage-projects/ 

 

ディアブロ・キャニオン原子力発電所の透明性を求める議員たち

カリフォルニア州は、州内の停電を軽減するため、ギャビン・ニューサム州知事の支援による10億ドル規模の取引により、ディアブロ・キャニオン原子力発電所の運転を、当初予定されていた閉鎖時期である2025年以降も延長するとした。現在、議員らは、原発の運転事業者であるパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社の透明性が十分でないこと、そして需要家と納税者がその代償を払うことになることを懸念している。

PG&Eは、ディアブロ・キャニオン原子力発電所を廃止する予定だったが、ギャビン・ニューサム知事が、送電網の信頼性を理由に2022年も同発電所を存続させるため、同発電所に14億ドルの融資を要請した。(写真:PG&E)

 

フラマトム、スロバキアのVVER原子炉に燃料を供給

スロバキア電力(SE)は、フランスのフラマトムと、2027年からボフニチェおよびモホフチェ原子力発電所のVVER-440原子炉に核燃料を長期供給する契約を締結した。スロバキアには現在、モホフチェに 3 基、ボフニチェに 2 基の原子炉があり、電力の半分を賄っている。また、モホフチェにはさらに 1 基建設中両発電所ともSEが運転している。SEの多様化戦略は、少なくとも 2 社の代替核燃料サプライヤと、核燃料サプライチェーン全体にわたる原料および役務の潜在的サプライヤを確保することだ。

燃料供給契約の調印(画像:SE)

 

日英が核融合に関する協力を強化

英国の慣性核融合エネルギー開発企業ファースト・ライト・フュージョンは、文部科学省の今枝宗一郎副大臣率いる日本政府代表団を迎え入れた。今回の訪問は、英国と日本が商業用核融合エネルギー研究のより緊密な協力関係を模索する中で行われた。7/23の訪問中、ファーストライトは、デイビッド・ブライアン最高財務責任者(CFO)と取締役会幹部のリードにより、日本代表団との円卓会議を開催。その後、ヨーロッパ最大のパルスパワー施設「マシン3」を含むファーストライトの技術施設を見学した。ファーストライトは、オックスフォードの本社で行われたこの会議は、民間および公共セクターの両方のレベルで核融合商業化を急速に進める英国と日本のパートナーシップの深化における最新の協力であると述べた。

日本代表団のメンバーがファーストライト社の施設を見学(画像:ファーストライトフュージョン)

 

液体リチウムが核融合炉の可能性を示す

液体リチウムや液体状の他の金属は、固体材料の欠点を回避して核融合炉を冷却する可能性があると、プリンストンプラズマ物理研究所(PPPL)の研究者たちは語る。リチウムの使用はシステムの冷却に役立ち、また水素粒子をリサイクルすることで適切なプラズマ温度を維持できるという利点もある、と研究者たちは言う。

液体金属は、磁力と電流によって薄板(スラット)の上端を移動する間、プラズマの熱に直接さらされるのはほんの一瞬だけである。その後、金属は 2 枚のスラット間の隙間によって作られたチャネルを流れ落ちる。液体金属がダイバータレットと呼ばれる装置の底部に向かって下降するにつれて、液体は冷却される。最終的に、液体金属はスラットの上部に戻り、熱を集めて再び落下する。

核融合炉で使用されているダイバータレット(液体リチウム抜き)。画像提供:PPPL

 

ホルテック社、ピルグリムの廃水放出をめぐって上訴を検討中

ホルテック・インターナショナルは7/22、マサチューセッツ州政府の原子力廃止措置市民諮問委員会(NDCAP)の会合で、ピルグリム原子力発電所からケープコッド湾に110万ガロン(約4,200㎥)の処理済み廃水を排出することを諦めておらず、マサチューセッツ州環境保護局からの許可却下に対して上訴すると述べた。ホルテック社は2019年に、8年以内に廃炉にできると予測していたが、規制の複雑化、訴訟、公開会議をめぐる疑問などの問題により、何度も延期されている。

ピルグリム原発(画像:CommonWealth BEACON))

 

カナダ、タイの使用済ラジウム放射線源をがん治療に利用へ

カナダ原子力研究所(CNL)は、タイ原子力技術研究所(TINT)から使用済ラジウム226放射線源を受領した。この放射性物質は、標的α線放射線治療(TAT)に使用されるアクチニウム225製造にリサイクルされる予定である。この取り決めは、IAEA(国際原子力機関)のラジウム226管理グローバルイニシアチブの一環であり、古い放射線治療用放射線源を保有する国と、それらのリサイクルや再利用に関心のある他の国を結びつけることを目指している。TINTとCNLは2022年からこの制度を通じて連絡を取り合っており、過去1年間で使用済ラジウム226のパッケージ70個がカナダに送られた。

この制度の恩恵は「記念碑的」と称される(画像:Archara Phattanasub/TINT/IAEA)

 

ノーススターとBWXTがAc-225生産契約を締結

ノーススター・メディカル・ラジオアイソトープ社とBWXテクノロジーズの子会社であるBWXTメディカル社は、がんの診断と治療に使用されるアイソトープであるアクチニウム225(Ac-225)の製造に関するマスターサービス契約を締結した。この複数年契約を通じて、両社はAc-225に崩壊するラジウム226(Ra-226)の処理と精製に協力する。両社によると、契約の範囲には、Ra-226ターゲット設計プロジェクトの可能性や、互いの顧客にバックアップ供給を提供する機会の探究も含まれる。BWXTメディカルは、ノーススターと協力し、生産プロセスの合理化、安全プロトコルの強化、新たなアイソトープ製造法の開発を行うと述べた。同社は最近、Ac-225 APIの医薬品マスターファイルを米国食品医薬品局(FDA)に提出している。

 

タウPETで引退したアスリートの灰白質萎縮を特定

7/22にJournal of Neurology誌に掲載された研究によると、フッ素18(F-18)PET薬剤フロルタウシピルによる画像診断(タウPET)で、神経変性リスクのある引退した接触スポーツ選手の神経病理学的脳変化を特定できる。カナダのオンタリオ州にあるトロント大学の研究グループは、脳震盪を経験した引退した選手と正常対照群のフロルタウシピル(タウビッド、アビッド・ファーマシューティカルズ)PETおよびMRIスキャンを比較した。研究チームは、タウPET信号が高いほど灰白質容積が減少し、記憶スコアが低いことを発見した。トロント大タンツ神経変性疾患研究センターのアンナ・ヴァシレフスカヤ博士らは、脳震盪と軽度の外傷性脳損傷はタウ脳病理と関連付けられており、アルツハイマー病と慢性外傷性脳症(CTE)患者の両方で神経変性と関連していると説明する。

18F-フロルタウシピル(AV1451)画像により引退したアスリートの灰白質萎縮が判明(画像:Journal of Neurology)